研究実績の概要 |
申請者は、これまでの研究においてうつ病エピソードにおいて閾値下の軽躁病エピソードの混入に関する報告を行い、双極性、重症度、若年が危険因子であることを報告した(Shinzato et al, Neuropsychiatr Dis Treat, 2019)。2022年度は予備的解析としてうつ病376例、健常群238例を対象にfreeSuferによる解析を行った。脳構造への上記で報告したなリスク因子を含めた各種因子の影響を検討した所、過去の逆境的体験と右の側坐核の体積の萎縮との関係が明らかになった。 次に健常群、うつ病群、双極性障害群において、自覚的・他覚的に計測できる閾値化の軽躁症状の縦断経過における頻度を測定した。横断像では自覚所見及び他覚所見における閾値化の軽躁症状の出現頻度は過去の我々の報告とほぼ同一であったが、縦断的に経過においては閾値下の軽躁症状は特定のグループだけに特異的に出現するのではない事が明らかになった。 現在約1000撮像のfreeSuferによる解析を終了しており、次年度に閾値下の軽躁症状と構造画像の関係について解析を行う事でこの閾値下の軽躁症状の混入が疾患特異的なのか状態依存的なのかを検討する予定である。 2022年度には我々のグループではうつ病の安静時機能的MRIを用いたバイオマーカーの縦断的再現性について報告した(Okada G et al, J Affect Disord, 2023)。このバイオマーカーの各結合を解析したとこ右楔部と右上側頭回の結合が閾値下の軽躁症状と関連していることが明らかになった。これらの成果は次年度にさらなる解析を行い報告を予定している。
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