研究実績の概要 |
2022年度は、遺伝子サイレンシング転写因子(REST)のうつ病のstate marker(層別化マーカー)としての検証を行った。 2022年度には、東京慈恵会医科大学附属病院に通院中の大うつ病性障害患者(20歳以上65歳未満)のうち20名および健常ボランティア20名より本研究参加への同意を取得した。うつ病患者および健常ボランティア各20名より、静脈血採血による約10mlの全血を得たのち、同大学精神医学講座のウエットラボにて、血液検体を4℃,3000回転/分,15分間の遠心分離を行い、ELISA法により血中REST濃度を測定した。得られた血漿は検体保管用チューブに分注し、ディープフリーザーにて‐80℃で凍結保存した。 健常ボランティア群では同条件にて1週間の期間を空けて計2回の測定を行い、1回目と2回目の測定値の平均を用いて解析を行った。その結果、健常ボランティア群のREST濃度は平均62.39±86.8pg/ml、うつ病患者群のREST濃度は平均74.24±111.8pg/mlであった。両群間の差をt検定を用いて比較したが、有意な差は認めなかった(t=-0.35, p=0.73)。 1回目と2回目の測定結果にばらつきが大きく、特に測定値が低い被検者においてその傾向が顕著に認められたことから、測定の再現性に問題がある可能性が考えられた。よって、次年度は測定再現性について再検討を行う予定である。
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