研究課題/領域番号 |
22K15786
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯部 昌憲 京都大学, 医学研究科, 助教 (10777981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経性やせ症 / 摂食障害 / 脳機能的MRI / 経頭蓋直流電気刺激法(tDCS) / 非侵襲性脳刺激 / 反社会的行動 |
研究実績の概要 |
神経性やせ症(AN)患者では万引き行為を多く認め、再犯も多く重症度と関連することが知られる。重症患者で治療上も問題となる「行動変容」の難しさが再犯につながると想定され、行動変容を誘導できる介入方法の開発が待たれる。行動変容、すなわち異なる行動の選択のためには「新たな行動の探索」が重要で、その中心的脳領域である前頭極(FPC)に対する非侵襲性刺激により健常者では行動誘導される報告があるが、AN患者では効果は明らかではない。本研究では、AN患者のFPCを中心とした脳機能的結合をAN寛解群や健常被験者と比較、ANと万引き行為の関連を説明する結合を同定し、さらにその脳機能的結合を標的としてAN患者に対して経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を実施することで活性化および不活化し、行動変容の誘導方法と疾患モデルの確立を目指している。今年度においては、tDCSの実施プロトコルの確立を目指して、健常被験者(HC)群およびAN患者群に脳MRI検査を実施した既存データ、特に安静時脳機能的MRI(fMRI)の画像解析について、前頭極を関心領域として設定して進め、扁桃体と前頭極の脳機能的結合がHC群と比較してAN群で有意に高い、などの結果を得た。また神経性やせ症の診断基準を満たす低体重である、Body Mass Index(BMI)16.5-17.5の健常被験者に対して脳画像検査を実施するとともに、AN寛解群の研究協力を目指して被験者リクルートを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属施設は、コロナウィルス流行に対する厳格な対応が続いている状況にあり、頻度の高い通院を必要としていないAN寛解群のリクルートは行いづらい状況にあったため、その実施には今年度は至らなかった。また、先行研究課題である「神経性やせ症患者における反社会的行動とその神経基盤」の実施データを、本課題の標的部位同定のために用いることとしていたが、同様に感染症流行の影響で進捗がやや遅滞していたため、先行課題の脳画像撮影を優先し、結果として本研究の開始時期がずれこむこととなった。tDCSの実施に向けた倫理委員会審査等の準備、および行動実験課題の作成は、当初の予定通りに進行している。また、低体重や低栄養による脳器質的・機能的影響と、疾患特異的な器質的・機能的変化を弁別することを目指し、低体重の健常被験者の脳画像撮影を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
感染症対策が5月より緩和するため、今後AN寛解群の研究参加依頼が行いやすくなるものと考えている。また令和5年度においても低体重健常被験者に対する画像検査を数例追加で実施し、今年度内のtDCS介入の標的部位同定を目指す。行動実験課題については、健常者10例を対象としてパイロット研究を実施し、行動実験結果をふまえて課題設定に小修正を加える。また上記過程で得られた結果については、令和5年度後半から令和6年度にかけて学会発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス流行に対する厳格な対応が続いている状況にあり、頻度の高い通院を必要としていないAN寛解群のリクルートは行いづらい状況にあったため、その実施には今年度は至らず繰越金が生じた。令和5年5月感染症対策緩和のため、令和5年に実施していく予定である。
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