研究実績の概要 |
動体追跡陽子線治療システムと磁気共鳴画像(MRI: magnetic resonance image)による非侵襲的な尿道同定法を用いて有害事象のリスクを最小限にした尿道線量低減動体追跡陽子線治療計画技術において、有害事象のリスクだけでなく、治療放射線以外による被ばくも限りなく0にすることが理想である。MRIは、被ばくなく体内の三次元画像を取得できるが、線量計算に必要な電子密度情報を得ることができない。MRIから直接線量計算が可能となれば、尿道線量低減陽子線治療における治療放射線以外の患者の被ばくを0にすることが期待できる。本研究では、深層学習における画質変換技術を応用し、MRIから仮想CT画像を生成することによって、MRI単独での尿道線量低減動体追跡陽子線治療計画技術の開発を目指している。 2023年度は、超解像技術の確立と画質変換技術の確立に向けて、DICOM形式で読み込みができるように改良を進めている。得られた成果の一部について、第2回日本MR画像誘導適応放射線治療研究会 (2024.7, 仙台)、10th GCB Biomedical Science and Engineering Symposium (2023.8, 札幌)およびThe 6th FHS International Conference (2023.10, 札幌)にて発表した。また、本研究において準備している技術は、数理モデルを用いた陽子線治療の予後予測 (Yoshimura T et al., J Radiat Res (in press), 2024)やMRI画像を用いて非侵襲的に前立腺癌のGleason scoreを推定(Yoshimura T et al., Appl Sci 13(14) 8028, 2023)といった関連する研究に活用された。 次年度は要素技術の完成を目指す。
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