放射線画像診断領域の研究は古くから「画像と病理の対比」が行われてきた歴史がある。従来の軟部肉腫を対象とした画像研究は、形態診断を主とした従来の病理診断をゴールドスタンダードとし、画像と病理の「形態」を対比することで、画像診断の有用性を検討したものが多かった。しかしながら、軟部肉腫の診断は年々進歩しており、診断に有用な免疫染色法や遺伝子検査が確立され、これに伴ってWHO 分類が改訂されている。従って、従来の画像研究は現状に則した検討が行われておらず、真の意味での「画像と病理の対比」となっていない。本研究では最新の病理診断基準に基づいて診断された軟部肉腫の画像所見を検討することを目的とした。 脱分化型脂肪肉腫は高分化型脂肪肉腫より発生する悪性軟部腫瘍として知られている。これまでも画像所見の検討はなされているが、いずれも免疫染色を行わずに病理診断をしていた。今回我々は免疫病理学的に診断された脱分化型脂肪肉腫について画像所見の検討をした。 まず、脱分化型脂肪肉腫が疑われる症例についてMDM2の免疫染色を行い、病理学的に診断を行った。高分化型脂肪肉腫は脱分化型脂肪肉腫に比べ予後が良いため術前の画像診断が重要となる。両者のMRI所見について比較検討した。脱分化型脂肪肉腫では非脂肪成分が100%みられるのに対し、高分化型脂肪肉では27%であった。また、非脂肪成分の腫瘍全体に占める割合も脱分化型脂肪肉腫で著明に高いことも鑑別に有用であった。以上をまとめ、論文を作成した。
|