放射線画像診断領域の研究は古くから「画像と病理の対比」が行われてきた歴史がある。従来の軟部肉腫を対象とした画像研究は、形態診断を主とした従来の病理診断をゴールドスタンダードとし、画像と病理の「形態」を対比することで、画像診断の有用性を検討したものが多かった。しかしながら、軟部肉腫の診断は年々進歩しており、診断に有用な免疫染色法や遺伝子検査が確立され、これに伴ってWHO 分類が改訂されている。従って、従来の画像研究は現状に則した検討が行われておらず、真の意味での「画像と病理の対比」となっていない。本研究では最新の病理診断基準に基づいて診断された軟部肉腫の画像所見を検討することを目的とした。 粘液型脂肪肉腫は粘液を含む脂肪肉腫である。これまでの画像所見の報告では組織学的所見のみで病理診断された粘液型脂肪肉腫の画像検討をおこなっていた。粘液型脂肪肉腫の病理診断ではときに線維粘液肉腫や脱分化型脂肪肉腫との鑑別が困難であり、粘液型脂肪肉腫で陽性となるDDIT3の免疫染色が診断に必須となっている。今回DDIT3陽性を確認した粘液型脂肪肉腫とMDM2陽性を確認した脱分化型脂肪肉腫のMRI所見の検討をおこなった。粘液型脂肪肉腫では粘液器質を反映してT2強調像で著明な高信号を呈し、線状に脂肪が入り込んでいることが特徴である。また脱分化脂肪肉腫で認める高分化脂肪肉腫の成分は粘液型脂肪肉腫では認めなかった。以上をまとめ、論文を作成中である。
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