研究実績の概要 |
本研究の目的は、癌の個別化治療を実現するために、放射線治療抵抗性細胞を同定できる新たな仮想生検を開発し、治療抵抗性細胞を含む不均一な癌への最適な治療法選択および適応を支援する、画像支援治療法を確立することである。 2022年度は公開データベースにある頭頸部扁平上皮癌患者の治療前CTやMR、PET画像への仮想生検(レディオミクス解析)に基づく再発予測モデルを開発を行った。これまでの画像特徴量に加え、局所領域の不均一性を評価できるローカルバイナリパターン(LBP)を応用した新たな手法を検討し、他者の先行研究における従来法(C-index=0.60)と比較し、高精度な(C-index=0.76)再発予測モデルを構築することができた。なお、本研究結果は国内および国際学会(第124回日本医学物理学会学術大会およびThe 22nd Asia-Oceania Congress on Medical Physics)にて発表し、国際学術雑誌(Physical and Engineering Sciences in Medicine, 46, 99-107, 2023)に掲載された。 2023年度は構築した再発予測モデルを用いて推定した再発や無再発症例を治療抵抗性細胞の位置同定に利用する予定である。また、低酸素状態にある癌細胞は放射線治療抵抗性であることに着目し、低酸素イメージングPET(FMISO-PET)画像の解析や放射線治療抵抗性細胞と感受性細胞では細胞密度や活動性が異なるとの仮説の元、細胞密度や活動性を反映した拡散強調MR画像により、放射線治療抵抗性細胞を同定する。
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