現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今研究年度では、遺伝子組み換えによってHER2を発現するMIA Paca-2細胞の作製に成功した。DNAのトランスフェクション後シングルコロニーからスケールアップさせた遺伝子組み換えMIA Paca-2に対して200 kVpのX線照射を行い、細胞の生存率曲線を取得した。取得した生存率曲線から生存率が37%, 10%, 1%となる線量(D37, D10, D1)を評価する。取得した値はMIA Paca-2のワイルド株のそれと比較した。結果として、遺伝子組み換えによるMIA Paca-2はワイルド株よりも放射線感受性が若干高い事が分かった。同様の実験を外照射によって実施するために、HIMACの中エネルギービーム照射室においてブラッグピーク近傍のHeイオンの照射実験を実施している。照射実験のマシンタイムは既に割り当てられており、滞りなく本研究を推進できると考えている。 並行して、α線の線量評価手法の確立も進めている。蛍光飛跡検出器内に記録されたα線の飛程を断層画像の取得により評価した。得られた飛程から蛍光飛跡に入射したα線のエネルギーを評価できる。Am-241線源を用いて同実験を実施したところ、線源から放出されたα線のエネルギーと蛍光飛跡検出器内の飛程から求めたα線のエネルギーは概ね一致した。取得した基礎データを展開することで、蛍光飛跡検出器上に細胞を培養した際の、細胞1つ1つに付与されたエネルギーの評価につなげることができると考えている。
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