研究実績の概要 |
初年度は本研究の第一段階として、心筋梗塞後の心臓と脳のsigma-1受容体分布の変化について検証した。具体的には心筋梗塞ラットモデルを作成し、sigma-1受容体のトレーサーである125I-OI5Vを尾静脈から投与し、その後ラットを屠殺し、心臓と脳を取り出し、オートラジオグラフィでsigma-1受容体の分布を確認した。心臓において、心筋梗塞が生じた部位にはsigma-1受容体発現が多い傾向にあった。 先行実験データと合わせて、国際学会誌(Journal of Nuclear Cardiology, Volume 30, Issue 2, April 2023, Pages 653-661)に共同著者として報告済みである。また、関連した実験について, 国際学会のEANM2023Congressで共同演者として発表済みである。
一方、脳についてオートラジオグラフィで特異的集積の有無を検討したが、心筋梗塞に関連した明らかなsigma-1受容体の発現は確認できなかった。心筋梗塞による心筋へのダメージ・ストレスに伴って、sigma-1受容体発現が見られる傾向にあると考えられたが、心臓と脳のsigma-1受容体発現の明らかな相関は確認できなかった。本年度は原因について文献検索や学会参加で情報収集を行ったが、明確な答えとなる情報は得られなかった。来年度は研究計画の見直しを行い、別のアプローチを模索する。新型コロナウイルス感染症流行による行動制限解除のため、学会の現地参加が可能となったため、本年度からは積極的に学会の現地参加を行い、情報収集や研究者間の交流を深めていく。
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