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2022 年度 実施状況報告書

肺がん患者への迅速な診断・治療を実現するモレキュラーコンバーチブルプローブの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K15852
研究機関京都医療科学大学

研究代表者

屋木 祐亮  京都医療科学大学, 医療科学部, 助教 (90802207)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードラジオセラノスティクス / PET / SPECT / GRP78 / モレキュラーコンバーチブル / F-18標識反応
研究実績の概要

本研究の目的は、治療困難ながん、特に肺がんに対してラジオセラノスティクスが有効となるプローブを創製し、新たな治療法として確立することである。具体的には、肺がん特異的に発現しているタンパク質に親和性を持つ核医学分子プローブを用いて早期発見、性状の特異的・効率的な把握を行い、さらに効果的な治療を可能とするRI内用療法へと結びつけるワークフローを構築するために、本プローブの標的になりうるタンパク質として、「Glucose Regulated Protein 78 (GRP78)」を選択し、モレキュラーコンバーチブル(MCP)創製法を用いて、ラジオセラノスティクスプローブの開発を目指す。
今年度は、主にプローブの合成及びF-18間接標識法の開発を行った。プローブの合成において、標識認識部位としてフェニルベンゾフラン構造、シグナル部位としてボロン酸構造を有する候補化合物の合成に着手し、フェニルベンゾフラン誘導体を得ることに成功している。また、F-18間接標識法の開発においては、共振空洞型マイクロ波反応装置を用いることで新規F-18間接標識試薬[18F]TDBFBの合成に成功し、さらに鈴木カップリング反応を用いることで有機アニオントランスポーターイメージング薬剤である[18F]pitavastatinの合成に成功し、F-18標識薬剤合成に応用が可能であることが示された。今後は、フェニルベンゾフラン誘導体の合成を進め、対照化合物、候補化合物、標識前駆体(ボロン酸誘導体)の合成を目指す。合成が完了次第、インビトロ評価と並行してインビボ評価ではモデル動物を作製し、より詳細な検討とPETあるいはSPECTを用いた画像化を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

モレキュラーコンバーチブルプローブ創製法を利用したGlucose Regulated Protein 78 (GRP78)標的核医学分子プローブの開発における候補化合物として、フェニルベンゾフラン誘導体の合成に着手して順調に進められている。
今後、非標識体及び標識前駆体の合成、I-125及びF-18標識検討、機能性分子(リンカー分子など)の検討が必要だが、候補化合物の合成においてフェニルベンゾフラン構造の特徴を捉え、今後の候補化合物合成における有益な情報を得ることができた。また、F-18間接標識試薬の開発ではマイクロ波反応装置を用いることにより合成法及び応用方法を確立することができた。よって前述の理由により、本研究は概ね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

得られたフェニルベンゾフラン誘導体は非標識体及び標識前駆体まで進め、得られた候補化合物はまず放射性標識(I-125, F-18)検討を行い、標識方法を確立する。そして、GRP78発現細胞を用いた細胞取込実験にて結合活性を測定する。そしてより有望な化合物に関して、担癌モデル動物を作製し、GRP78発現腫瘍への集積性、血液腫瘍比、肝臓腫瘍比、腎臓腫瘍比を指標にさらなるプローブの選定を行う。
既報のプローブにおいては血中の滞留性が問題となっている。そこで血中の滞留性が改善できているか放射能体内分布評価実験により評価する。また、腎臓からの排泄促進が期待できる機能性分子として代謝性リンカーを別途数種合成し、刷子縁膜酵素を用いたインビトロ評価及び正常マウスを用いたインビボ評価によって検討する。
最終的に候補化合物の標識体を担癌モデル動物へ投与及びPET・SPECT撮像を行い、腫瘍集積性及び腎臓集積性を確認し、イメージングプローブとしての可能性を評価すること目標にする。もし、イメージングプローブとして有望な化合物を見出すことに成功すれば、引き続き治療用核種(Y-90, Lu-177)に置き換え、担癌モデル動物へ投与し、腫瘍集積性や腎臓集積性、そして腫瘍縮小度を確認し、セラノスティクスプローブとしての有用性も評価する。

次年度使用額が生じた理由

出席予定であった国際学会がコロナ禍などの理由で出席できなくなってしまい、予算執行を予定していたがすべて中止せざるを得なくなった。次年度に中止してしまった国際学会に出席を予定しているため、次年度使用額分をすべて充当させる予定である。
その他に、本学における放射性同位元素使用許可申請が遅れてしまった影響で、使用予定であった放射性同位元素の購入を見送った。次年度早期に使用許可が下りる予定であり、使用許可が下り次第、放射性同位元素の購入を予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University Hospital Wuerzburg(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      University Hospital Wuerzburg
  • [雑誌論文] Novel [<sup><b>111</b></sup>In]In-BnDTPA-EphA2-230-1 Antibody for Single-Photon Emission Computed Tomography Imaging Tracer Targeting of EphA22023

    • 著者名/発表者名
      Furukawa Takenori、Kimura Hiroyuki、Sasaki Minon、Yamada Takumu、Iwasawa Takumi、Yagi Yusuke、Kato Kazunori、Yasui Hiroyuki
    • 雑誌名

      ACS Omega

      巻: 8 ページ: 7030~7035

    • DOI

      10.1021/acsomega.2c07849

  • [雑誌論文] Novel synthesis of an [18F]aryl boronic acid ester as a reagent for 18F-labeling via Suzuki coupling2022

    • 著者名/発表者名
      Yagi Yusuke、Kimura Hiroyuki、Kondo Yuto、Higuchi Takahiro
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 104 ページ: 154010~154010

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2022.154010

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Copper-mediated radioiodination and radiobromination via aryl boronic precursor and its application to 125I/77Br?labeled prostate-specific membrane antigen imaging probes2022

    • 著者名/発表者名
      Kondo Yuto、Kimura Hiroyuki、Sasaki Ichiro、Watanabe Shigeki、Ohshima Yasuhiro、Yagi Yusuke、Hattori Yasunao、Koda Manami、Kawashima Hidekazu、Yasui Hiroyuki、Ishioka Noriko S.
    • 雑誌名

      Bioorganic &amp; Medicinal Chemistry

      巻: 69 ページ: 116915~116915

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2022.116915

    • 査読あり
  • [学会発表] 鈴木カップリング反応を用いたF-18間接標識用試薬ボロン酸誘導体[18F]TDBFBの合成検討2023

    • 著者名/発表者名
      屋木 祐亮、木村 寛之、樋口 隆弘
    • 学会等名
      日本薬学会143年会
  • [備考] 京都医療科学大学 教員業績

    • URL

      https://www.kyoto-msc.jp/international/

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公開日: 2023-12-25  

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