研究課題/領域番号 |
22K15856
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亀田 浩之 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (70829887)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | glymphatic system / 水動態解析 / MRI / 同位体顕微鏡 / 安定同位体 |
研究実績の概要 |
T2-preparationパルスを利用した高速T2 mapping法の17O濃度計測における精度を既知のT2 mapping法(CPMG法)と比較したところ、短時間でほぼ同等の精度で17O濃度計測ができることを確認した。野生型ラットに対する17O水髄注モデルでの少数の検討では、有意なT2値変化を検出することができず、脳実質に併せた適切なTEポイントでの計測が必要であり、追加の条件検討が必要であると考えられた。その他、複数の17O水投与経路として、ラットの外頚動脈経由で片側の内頚動脈内に17O水動注を行いながらMRI撮像ができるモデルを確立した。また、脳内水動態異常を簡便に検証するモデルとして、片側頚部リンパ節結紮モデルラットを確立し、Gd髄注MRIを用いた検討で、同モデルは野生型ラットと比較して、鼻腔からの頭蓋内CSFの排泄が遅延することを明らかにした。今後、17O-MRIでの検討を予定している。 組織レベルでの脳内17O分布をクライオ同位体顕微鏡でみるために、サンプル処理も含めたいくつかの条件検討を行った。脳サンプルは本検討で扱いが難しかったため、18O標識水をラットの肝臓内に注入し、血管内や細胞間隙、細胞内の18O分布のミクロの可視化を試みたところ、肝血管内に一致した18O分布を可視化することができた。しかし、脳サンプルでは肝臓サンプルよりも組織構築が複雑なためか、やや複雑な18O水の分布がどのような組織分布に対応しているのかの推定が難しく、組織情報をもつ対比画像が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
17O-MRI間接法のより安定した計測方法として、T2 preparation パルスを利用した高速T2マッピングの精度の検証を終え、生体での撮影条件の最適化を行っているところである。また、17O-MRIによる脳内水動態異常を検証するためのモデルラットとして頚部リンパ節結紮モデルを確立済であり、来年度検証する準備が整っている。 クライオ同位体顕微鏡解析においては、外因性にラットの脳や肝臓に投与した同位体トレーサー(18O標識水)の解剖学的構造に一致した分布を高感度で捉えることができているが、霜などのアーティファクトを除去するためのワークフローの改善や組織の対比画像取得の方法に関する検討にやや難航している。17O標識グルコースは合成済である。
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今後の研究の推進方策 |
高速T2 mapping法による17O-MRIを用いて、野生型ラットおよびモデルラット(頚部リンパ節結紮術)、AQP4-KOラットで、脳内水動態異常の可視化を試みる。また、溶質トレーサーとして使用するGd髄注MRIとの分布の比較を行う予定である。 同位体顕微鏡クライオシステムでの凍結含水試料の解析において、分析面処理の工夫による画質の向上、分析面に付着する霜の問題など、いくつかの課題を解決するための検討を行う。また、対比組織像として、ペア切片や高画質の肉眼画像の取得、内因性同位体イメージングが利用可能か検討を行う。また、上記のモデル動物の組織サンプルをクライオ同位体顕微鏡で分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で、研究協力施設での実験や学会参加・発表に関連する旅費で十分に使用することができなかった。次年度には、成果発表のための学会参加に要する費用として使用する。
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