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2022 年度 実施状況報告書

分子シャペロンHSP90を標的とする新規脳PETイメージングの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K15874
研究機関国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

境 崇行  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 研究員 (40881925)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード脳PETイメージング / HSP90 / 神経変性疾患
研究実績の概要

神経変性疾患に関わるタンパク質であるヒートショックプロテイン90(HSP90)を標的とする脳PETイメージングを開発を行った。まず、HSP90と高い親和性を示すBIIB021の11C標識前駆体Dm-BIIB021(Dm-NCGG801)の合成に成功した。続いて、Dm-NCGG801を塩基性条件下で[11C]ヨードメタンと反応させることにより、HSP90のPETイメージングリガンド[11C]NCGG801を高い収率で得た。ラットを用いた脳PETイメージングにおいて[11C]NCGG801は良好な脳移行性を示すことが明らかとなった。さらに、ラット脳においてコールド体のNCGG801によるブロッキング効果が認められ、[11C]NCGG801の特異結合が認められた。ラット脳ホモジェネートを用いたバインディングアッセイにおいても特異結合を認める結果となり、親和性を表すKD値が2.1 nMと算出され、BIIB021が示すHSP90の阻害活性に近い値となった。以上から、[11C]NCGG801は脳内のHSP90をイメージングする能力を有する可能性があることが明らかとなった。
現在、アルツハイマー病モデル動物およびヒトアルツハイマー病の脳切片を用いた、オートラジオグラフィー、結合性試験を行い、HSP90特異抗体を用いた免疫染色と比較することで、PETリガンド[11C]BIIB021の脳細胞特異 的な集積とそれぞれの疾患とHSP90の量の関連性について評価を行っている。そしてレビー小体病について、まず、αシヌクレインが蓄積するモデルの脳 としてαシヌクレイン線維を脳に接種した伝播モデルマウスの脳切片をオートラジオグラフィーで評価を行っている。また、レビー小体病のヒト脳切片を用いたオートラジオグラフィーを行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的とするPETイメージングリガンドの合成に成功し、その活性評価を行ったところ、HSP90のバイオプローブとして優れた能力を有することが明らかとなった。今後、これを用いて、病態モデルの評価や、疾患のあるヒト脳切片を用いた評価を行う。また、毒性試験も実施中であり、ヒトを対象とした臨床試験を目指していることから、本研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

神経変性疾患のなかで、HSP90発現の増減が報告されている疾患があることから、これらの疾患について合成に成功した[11C]NCGG801を用い、各疾患モデル動物についてPET撮像を行い、評価する。また、ヒトを含めた脳切片のオートラジオグラフィーを行うことで、それぞれの神経変性疾患におけるHSP90についても評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初見込んでいたよりも合成および評価が順調に進行したため、かかった費用が減少した。
今後、ヒトを対象とした臨床研究を目指すさらなる研究にこの費用を充てる。

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公開日: 2023-12-25  

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