研究実績の概要 |
HSP90阻害活性の高い化合物群の中からリード化合物として[11C]メチル基に置換可能なメトキシ基を有するBIIB021の構造に着目し、リード化合物としてを選定し、PETイメージングリガンド[11C]BIIB021の設計・合成を行った。[11C]BIIB021の機能評価として、まず、バインディングアッセイによりHSP90に対する親和性を検討した。次に、脳取り込みおよび特異結合をin vivo PETイメージングおよびブロッキング試験で評価した。続いて、ラット脳切片およびヒト脳切片のオートラジオグラフィーによって[11C]NCGG801の特異結合の評価を行った。その結果、良好な収率で[11C]BIIB021の合成に成功し、[11C]BIIB021はラット脳ホモジェネートのHSP90に対する特異結合をみとめ、また、レコンビナントタンパク質を用いた検討により、HSP90αおよびHSP90βに対する高い親和性をみとめた。[11C]BIIB021は、ラット脳への良好に取り込みと特異結合が認められた。また、オートラジオグラフィーより、ラット脳切片およびヒト脳切片に高い得意結合を認め、特に多系統萎縮症で得意結合の上昇が認められた。以上より[11C]BIIB021は、HSP90を標的とする脳PETイメージングリガンドとして有望であると考えられ、これらの結果を2023年日本各医学会にて口頭発表を行い、また、EJNMMI Radiopharmacy and Chemistryに論文を投稿し、採択された。(Sakai et al. EJNMMI Radiopharmacy and Chemistry, 2024, 9:19.)
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