研究課題/領域番号 |
22K15875
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森田 亮 北海道大学, 大学病院, 助教 (30872626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カテーテル選択 / Vascular IVR / AI |
研究実績の概要 |
カテール選択支援AIを開発するため、確実に挿入可能な最適な先端形状のカテーテルを選択することを目的として模擬訓練に基づくカテーテル選択の研究を行った。IVR術前患者のCTデータを整備して簡易的にSTLへ抽出し、より短時間に3Dプリンターで超高精細3D血管模型を作製し、事前にカテーテル挿入等の模擬訓練を行うことが可能な環境を整えた。複数の患者治療前に血管模型を作製し、模擬訓練を行いそれに基づくカテーテルを選択し、Vascular IVRを施行し、この模擬訓練を用いると事前に最適なカテーテル形状が把握できるため患者治療が完遂できた。 上記の血管模型と生体血管との比較を目的として、物性実験を行い、滑りや弾性率などを計測した。その成果を、論文化(Morita R, et al. Mechanical Properties of 3D-Printed Transparent Flexible Resin Used for Vascular Model Simulation Compared with Porcine Arteries. J Vasc Interv Radiol. 2023)した。 次に、3D-CTA120症例に対して、研究者3名が独立して、腹部動脈のVR 画像を視覚的にCHAへのカテーテル挿入の視認性難易度(0.easy: /1.normal:/2.difficult:)に基づいて分類した。120例のうち、CHAへの挿入が2.difficultと3名が一致して判定 した18例から10例を選択し3Dプリンターで超高精細3D血管模型を作製しカテーテル挿入実験を行い、成否・時間の記録を行った。専門医による視覚的難易度と模擬訓練結果による難易度が異なる場合があった。 論文化した物性データと、模擬実験結果に基づいて、森田亮、野々山貴行: カテーテルの挿入難易度判定装置、血管モデル作製装置、血管モデル、カテーテルの挿入難易度判定方法、カテーテルの挿入難易度判定用プログラム及び記録媒体 特願2023-221384, 2024.1.10 の特許出願に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管模型を用いた標的血管へのカテーテル挿入難易度のAI解析を目的として、患者CT画像情報に基づく超高精細3D血管模型を作製し、非透視下に標的血管へのカテーテル挿入実験を行い、到達時間・成否を教師データとしての抽出に成功した。その際に、血管モデルの模擬実験での手技シミュレーション環境が、カテーテルの操作性や滑りの観点から実際の血管内治療の実施環境に類似しており、トレーニング目的の手技シミュレーションとして非常に有用と思われた。また、これらの模擬実験の結果を踏まえて、血管模型に適した3Dプリンター素材の物性を生体血管と比較する実験を行い論文化し、その成果を知財出願とすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、このAI解析によって得られた知見をいかして、高精細血管模型を用いた血管内治療の非侵襲的なトレーニングシステム開発を行う予定である。具体的には、複数のIVR専門医・研修医などの初学者に対して、事前に難易度が判定している血管模型を用いた模擬訓練(トレーニング)を実施することで、手技の時間・成否・手技技能評価スコアなどのデータを収集する。その得られたデータを用いて客観的な難易度を持つ手技シミュレーション環境を作成する。これによって、カテーテル選択だけでなく、カテーテル操作に関連したコイル塞栓術・ステント留置など血管内治療に必須の手技もトレーニングすることで、シュミレーションベースで手技上達が望める環境を形成する。また、得られたデータは、蓄積することで将来的なAI解析のための教師データベース化が可能と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
高価な3D血管模型作成と、模擬訓練に必要なデバイス購入、教師データの収集を行うため、2023年度に前倒し支払請求を行ったが、予定よりもデバイス購入の費用が抑えられたため、次年度使用が生じた。次年度は計画通り、3Dプリンターの部品や原料、追加で発生するカテーテル等を購入する予定である。
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