医師の画像診断プロセスに基づくコンピュータ支援診断ソフトウェアの開発と高度化

2023 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 22K15877
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 越野 沙織 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50801552)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2027-03-31
• キーワード: コンピュータ支援診断 / コンピュータ支援検出 / 画像診断 / 人工知能 / 脳動脈瘤 / 脳出血 / 肺結節 / 大脳白質病変

研究実績の概要

(1) 申請前に開発に携わった、胸部CTにおいて病変を検出するAIソフトウェアの性能改善を行った。放射線診断専門医の立場から、AIの誤った検出を指摘し、学習データの改善を試みた。また学習データの違いが読影医の検出能力に影響するかを調査し、International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery (Impact Factor: 3.4)への掲載が決定した。
(2) 申請前に開発に携わった、頭部CTで脳出血や脳梗塞を検出するAIソフトウェアや、頭部MRIで脳動脈瘤や白質病変を検出するAIの性能改善を行った。白質病変を自動的に検出するAIを高度化させ、医師や従来のAIと同等以上の性能を示すことが出来た。本研究についてはScientific Reports (Impact Factor: 4.9)に受理された。
(3) 2019年9月に申請者が携わった脳動脈瘤検出AIが国内初の薬事承認を取得し、画像診断AIが実用化される先駆けとなった。AI読影の現状と展望について、診療所マネジメントEXPOや岐阜健康管理センター内学術講演会、第621回大分県北部地区小児科医会、東京大学生産技術研究所内 学びのイノベーション・プラットフォーム STEAM Learning Communityにて招待講演を行った。またプレジデント社の医学部進学MATEや、Rad Fan 2024年2月号にて執筆した。

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

AIの高度化に成功し、論文が受理されたため。

今後の研究の推進方策

学習や解析に必要なデータをさらに蓄積し、学会発表や論文雑誌への投稿を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍が落ち着いてきた頃だが、就業上の理由から国際学会に現地で発表することが困難であったため。
次年度には論文執筆を行い、英文校正費として使用したい。

研究成果

• [雑誌論文] Performance changes due to differences among annotating radiologists for training data in computerized lesion detection (2024)
  • 著者名/発表者名: Yukihiro Nomura, Shouhei Hanaoka, Naoto Hayashi, Takeharu Yoshikawa, Saori Koshino, Chiaki Sato, Momoko Tatsuta, Yuya Tanaka, Shintaro Kano, Moto Nakaya, Shohei Inui, Masashi Kusakabe, Takahiro Nakao, Soichiro Miki, Takeyuki Watadani, Ryusuke Nakaoka, Akinobu Shimizu, Osamu Abe
  • 雑誌名: International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.1007/s11548-024-03136-9
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] AI読影の現在と未来 (2024)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 学会等名: 第621回大分県北部地区小児科医会（日本医師会生涯教育制度適合学術講演会）
  • 招待講演
• [学会発表] 放射線科医が取り組む医療AIについて (2024)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 学会等名: 東京大学生産技術研究所内 学びのイノベーション・プラットフォーム STEAM Learning Community
  • 招待講演
• [学会発表] AIで支える未来の医療 (2023)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 学会等名: 診療所マネジメントEXPO
  • 招待講演
• [学会発表] AI読影の現状と展望 (2023)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 学会等名: 岐阜健康管理センター内学術講演会
  • 招待講演
• [学会発表] 深層学習を用いたUltra-short TE MR画像における肺結節検出 (2023)
  • 著者名/発表者名: 高橋将斗, 野村行弘, 竹永智美, 越野沙織, 花岡昇平, 中尾貴祐, 阿部慎司, 吉川健啓
  • 学会等名: 第51回日本磁気共鳴医学会大会
• [図書] 医学部進学MATE (2024)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 総ページ数: 64
  • 出版者: プレジデント社、東京医師歯科医師協同組合
• [図書] Rad Fan (2024)
  • 著者名/発表者名: 越野沙織
  • 総ページ数: 112
  • 出版者: 株式会社メディカルアイ
  • ISBN: 9784862912794
• [備考] researchmap
  • URL: https://researchmap.jp/saori.koshino/
• [備考] ResearchGate
  • URL: https://www.researchgate.net/profile/Saori_Koshino