本研究の目的は、ダウン症児に合併する前白血病疾患「一過性骨髄異常増殖症(TAM)」に焦点を当てた、病態形成の分子メカニズムの解明である。TAMの原因遺伝子として知られているGATA1遺伝子はX染色体上に位置し、TAM発症時には通常のGATA1flではなく、アイソジェニックなGATA1sのみが発現していることから、GATA1sタンパクに着目し、TAMモデルとして患者由来疾患iPS細胞を用いて、その転写因子としての独自の役割を解析した。結果として、GATA1sはGATA1fl非存在下でのみ特定のがん関連遺伝子に結合していることが認められ、これがTAMの表現型に寄与している可能性が示唆された。
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