研究課題
本研究では新生児外科疾患の代表である新生児壊死性腸炎(NEC)モデル動物を用いて、腸内フローラを治療ターゲットとして急性期治療効果を検討するだけでなく、拡散テンソルMRI画像を用いて中枢神経の発達を評価することで、長期的な神経学的予後を見据えた腸内フローラ制御・管理方法の開発を目的とする。NECモデルでの研究に先立ち、短腸症候群・長期絶食中心静脈栄養ラットのモデルを用いて、腸内細菌叢の変化について評価した。我々の研究では、HGF(肝細胞増殖因子)の投与によって、短腸症候群・長期絶食中心静脈栄養ラットの腸内細菌叢の改善が見られた。同モデルにおいてHGFは腸管絨毛の順応促進や肝障害の抑制にも効果があり、投与された物質が直接的/間接的に腸内細菌叢を改善していることが示唆された。NECモデルについても現在作成中であり、腸内細菌叢の評価を進めている。当研究グループで使用経験のあるGuar gumを投与することでNECモデルラットのdysbiosisに対する改善効果およびNECモデルの生存率や重症度改善への寄与を評価する。さらにMRI拡散協調画像 (DWI : diffusion weighted image) をもとにした拡散テンソル画像 (DTI : diffusion tensor image) を用いた脳の成熟度評価についても研究を進めていく方針である。急性期治療へより早期にフィードバックできる画期的評価法であり、腸内フローラを治療ターゲットとした、神経学的発達を見据えた新たな治療方法の開発につながると考える。
3: やや遅れている
短腸症候群・長期絶食中心静脈栄養ラットのモデルでの検討に時間がかかっている。NECモデルでの研究も開始しているため、引き続き研究を進めている。
NECモデルについても現在作成中であり、腸内細菌叢の評価を進めている。Gua gumを投与することで腸内細菌叢が変化するか、またその影響によりNECモデルラットの重症度や生存率が変化するかを検討予定である。
NECモデルの作成が予定より少し遅れているため、使用する予定であった予算が次年度に繰越になっている。実験を継続することで次年度以降に執行予定である。NECモデル作成のラットおよび試薬の購入費として使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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