研究課題
本研究は①末梢血単核球のアミノ酸構成と臨床所見の比較、②iPS細胞から分化誘導した血管内皮細胞の細胞機能評価を行うことを研究全体の予定としている.本年度は①を中心に検討を行った.健常な若年成人3名とリジン尿性蛋白不耐症(LPI)患者3名(女性24歳,男性18歳,女性27歳)より末梢血単核球細胞を採取した.LPI患者3名のSLC7A7バリアントは全例c.1228C>Tであった.専用スピッツで単離した末梢血単核球細胞を用いて,細胞内アミノ濃度を健常人及びLPI患者を測定した.標準化した細胞内アミノ酸濃度の比較では二塩基性アミノ酸のうちリジン,アルギニンがLPI患者由来末梢血単核球で高値であった.二塩基性アミノ酸以外のアミノ酸でもバリン,プロリン,アラニン,システイン,グリシン,セリン,ヒスチジン,イソロイシン,スレオニン,グルタミンが高値であった.非上皮細胞における細胞内アミノ酸濃度もLPIの病態を形成しているアミノ酸トランスポターのバリアントの影響を受けていることが明らかとなった.
2: おおむね順調に進展している
研究参加者からの同意取得,末梢血単核球取得のための来院がやや遅れたため,iPS細胞作成過程が予定よりも遅延した.しかし,当初目標としたiPS細胞樹立を京都大学iPS細胞研究所に委託注文は終了している.来年度はiPS細胞を用いた研究を行っていく予定である.
現在,患者由来iPS細胞の樹立が終了し,健常人由来iPS細胞も取得が終了している.今年度以降は細胞分化を行い,分化細胞の特性を解析していく予定である.
iPS細胞樹立までの期間が遅延したため,当初よりも支出額が低くなった.iPS細胞を用いた実験を来年度以降おこなっていくため,これに関わる消耗品購入も来年度以降に行う予定である.
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Molecular Genetics and Metabolism Reports
巻: 32 ページ: 100898