研究実績の概要 |
一般的に精巣の形成にはY染色体にある遺伝子SRYが必要とされる。一方で、SRYの存在しない46,XXの染色体をもつにもかかわらず精巣を生じる疾患 (46,XX精巣性/卵精巣性DSD)の患者が存在する。46,XX精巣性/卵精巣性DSDの病因は十分に解明されていない。本研究では、病因未解明の患者に対する全ゲノム配列解析と網羅的タンパク質相互作用解析の併用により本疾患の新たな病因解明を目指す。本年度の進捗は以下の通りである。 (1) 昨年度同定した46,XX精巣性/卵精巣性DSD患者のゲノム配列変化の病原性について検討した。このうち、染色体の崩壊後にランダムに再編成される染色体の異常 (クロモスリプシス)の症例において、切断点周辺の遺伝子のゲノム構造変化がSRYを介さない精巣形成に寄与した可能性を見出した。この成果について第28回日本生殖内分泌学会で報告した。 (2) 網羅的タンパク質相互作用解析により昨年度得られた、46,XX精巣性/卵精巣性DSDの原因となりうるタンパク質「NR5A1」と相互作用をもつタンパク質のリストを用い、DSD患者のゲノムデータを解析した。その結果、NR5A1と相互作用をもつタンパク質をコードする遺伝子にバリアントを同定した。
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