研究実績の概要 |
小児のリンパ腫(Lymphoma)は小児がんにおいて、白血病、脳腫瘍、神経芽腫に続く第4位の発症頻度であり、全体の10%前後を占めており、その中でも成熟B細胞リンパ腫(Mature B-cell lymphoma, B-NHL)の頻度が最も多い。B-NHLには主に、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (Diffuse Large B-cell Lymphoma, DLBCL)、バーキットリンパ種 (Burkitt Lymphoma, BL)があるが近年高悪性度B細胞リンパ腫(High-grade B-cell lymphoma, HGBL)と呼ばれる疾患群がWHO分類改訂第4版(2017)にて分類・記載されたがDLBCL、BL、HGBLの境界は不明瞭である。これらの疾患群はIg、BCL2、BCL6、MYC領域の遺伝子異常を踏まえ、病理組織学的診断によって分類されているが、既存の検査法で遺伝子異常を検出できず、分類不能症例が多数存在しており、新たな診断方法の確立と正確な分類が急務となっている。事前に平成31年度若手研究「小児白血病の発症・予後に関連する免疫グロブリン領域関連融合遺伝子の検出法の開発」で、Ig、BCL2、BCL6、MYC領域を含めたRNA Target Captureシークエンス用のカスタムパネルを開発しており、令和5年度はこのパネルを使用して、既存の検査で特定の遺伝子異常が検出できず分類不能なB-NHL症例10数件を対象に解析し、データの精査を行った。令和6年度は前年度のデータからカスタムパネルのアップデートを行い、さらにB-NHL症例10数件を対象に解析を行った。現在はデータの精査中である。
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