研究課題/領域番号 |
22K15936
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松岡 大輔 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (90814567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アンジオテンシンII / アンジオテンシンII受容体 / βアレスチン / アデノ随伴ウイルス |
研究実績の概要 |
本研究は、後腎形成におけるアンジオテンシンII(AngII)の未解明の制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。AngII 1型受容体(AT1R)の下流のシグナル伝達経路は、大きくGタンパク質経路とβアレスチン経路に分類できる。これまでに、この両経路を阻害す るAngII受容体拮抗薬(ARB)を投与すると、腎臓の血管等に異常が生じることが示唆されているが、Gタンパク質経路とβアレスチン経路がそれぞれどのような役割をもつかは不明な点が多い。本研究の目的は、後腎発生におけるAngII作用の未解明の分子メカニズムを明らかにすることであり、これを通して胎児に影響を与えないRAS阻害薬の開発や胎児期の後腎形成を促す方法の開発の端緒を探ることである。 本研究では、βアレスチン経路をまず薬理学的に抑制し、マウスの後腎形成に及ぼすARBとβアレスチンバイアスアゴニスト(BBA)の効果の違いを詳細に比較する。マウスにP1から生理食塩水、ARB(Candesartan)、BBA(TRV027)を連日皮下投与し、P5, 10, 15に腎組織を解析して、腎組織に生じる形態変化を経時的に観察した。また、ネフロン(糸球体、各尿細管)や血管構成成分(内皮、平滑筋、壁細胞)に特異的な抗体を用いて免疫染色を行うために各染色の条件検討を行った。 また、並行して、アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した「後天的細胞種特異的遺伝子ノックアウトマウスモデル」の準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスに生理食塩水、ARB、BBAを連日皮下投与し血液や尿生化学的検査を行った。また、P5、P10、P15の腎組織を解析し形態変化を追跡することができた。さらに、免疫染色の条件検討が終了している。AAVの準備も進んでいる。以上から本研究はおおむね予定通りに進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は得られた腎組織を経時毎に免疫染色を行い、どの時点で糸球体や尿細管、血管など、どの腎組織異常が生じるかを詳細に検討していく。また、並行して、アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した「後天的細胞種特異的遺伝子ノックアウトマウスモデル」を用いて、今まで得られた知見と同じ変化を生じるか否かを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究で途中となっている免疫染色試薬や細胞分裂・細胞死評価キット、AAV調整用試薬などの消耗品を購入していないものもあるため、次年度に購入予定としている。
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