研究課題/領域番号 |
22K15947
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
井上 真紀 大分大学, 医学部, 講師 (20726913)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳児肝不全症候群1型 / LARS1 / 急性肝不全 / オートファジー / ゼブラフィッシュ / マウス |
研究実績の概要 |
2023年度は、主にLARS1遺伝子変異ノックインゼブラフィッシュの解析を行った。LARS1遺伝子変異ノックインゼブラフィッシュは、肝臓の発生段階において肝臓の形態学的異常を呈しており、組織学的解析では同時期の肝臓に脂肪滴の蓄積を認めていた。オートファジーとの関連にいて検討したところ、オートファジー関連タンパク質であるLC3が肝臓内で集積しており、またオートファジー阻害薬であるバフィロマイシンで脂肪肝の改善を認めたことから、オートファジーの亢進が本疾患の発症に寄与していることが示唆された。LARS1遺伝子変異ノックインゼブラフィッシュについて、熱や炎症、小胞体によるストレスに対する反応の解析を行ったところ、小胞体ストレスに対する反応がWTと異なることを見出した。LARS1遺伝子変異ノックインマウスについては、経時的な発育状況を確認しており、生後早期にのみWTと比較して成長率が低下する時期があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本学動物施設の改修工事によりマウス実験の開始が遅れていたが、ノックインマウスの樹立がスムーズであったため全体の研究経過としては順調にすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
LARS1遺伝子変異ノックインマウスにおいて成長率が低下する時期が特定できたため、今後はその時期における肝臓の組織学的解析やメタボローム解析を実施し、肝不全・肝臓脂肪滴蓄積を生じる分子機構を明らかにする。また、成長率が低下する時期の前後においても解析を行い、どのような機構の違いがあるのかを確認する。 その後、明らかになった病態に関連する分子を、LARS1遺伝子変異ノックインゼブラフィッシュにおいて阻害薬等を用いて解析し、表現型が回復するかどうかの実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本学動物施設の改修工事のため、マウスを使用した実験の開始が半年程度遅れたことにより、解析に使用予定であった物品費が一部余る状況が昨年度から続いているものの、マウスの実験の遅れはほぼ取り戻せつつあるため、次年度には本予算を利用できる状況にある。
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