肺動脈性肺高血圧症の治療薬は血管拡張・収縮物質産生の不均衡理論に基づいている。しかしすでに病期の進行した症例においては治療抵抗性を指摘する数多くの報告がなされている。そこで本研究は、シミュレーション医学によって見出された、肺血管病変部に生じる病的高シェアストレスに焦点を当てた、血管リモデリングの機序の解明と新たな治療ターゲットを同定すことを目的として行った。肺循環の血管リモデリングの機序を病的高シェアストレス刺激に着目し、転写因子ERGの低下により内皮間葉転換が起こることを見出した本研究は独自性が非常に高く、新たな抗リモデリング治療のターゲットに繋がる可能性を秘めており、創造性が極めて高い。
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