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2022 年度 実施状況報告書

病原性ヘルパーT細胞を中心とした好酸球性食道炎と食道アカラシアの病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15957
研究機関千葉大学

研究代表者

金子 達哉  千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90867003)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード病原性ヘルパーT細胞 / 好酸球性食道炎 / 食道線維化 / 食道アカラシア
研究実績の概要

本研究では好酸球性食道炎における食道の炎症・線維化の機序について、病原性ヘルパーT細胞の役割を中心として検討し、さらに食道神経叢評価を通して好酸球性食道炎と食道アカラシアの関連について明らかにすることを目的としている。
研究代表者は既にダニ抗原長期感作により好酸球性アレルギー性炎症に伴い食道に高度線維化をきたす好酸球性食道炎マウスモデルを確立している。今年度の研究では、同マウスモデルの食道において2型病原性ヘルパーT細胞が増加し、同細胞集団が食道においてIL-5やIL-13とともにAmphiregulinを産生することを確認した。Amphiregulinは近年、肺や肝臓において慢性炎症に伴う線維化に関与することが報告されている組織修復因子であり、好酸球性食道炎においても線維化に関与する可能性が考えられた。その検証のためAmphiregulin欠損マウスに対してダニ抗原長期感作を行ったところ、野生型マウスで観察された食道線維化が有意に抑制された。さらに、野生型マウスから採取したCD4+T細胞を移入した後にダニ抗原長期感作を行ったところ、Amphiregulin欠損マウスにおいても野生型マウス同様に食道線維化を呈することが明らかになった。これらの結果よりCD4+T細胞(病原性ヘルパーT細胞)に由来するAmphiregulinが食道線維化に重要な役割を果たすことが示唆された(論文投稿準備中)。
好酸球性食道炎と食道アカラシアの関連についても好酸球性食道炎マウスモデルを用いた検証を開始している。免疫染色により好酸球性食道炎マウスモデルにおいて筋層間神経叢の神経細胞が減少傾向にあることを確認しており、今後定量的評価を含めた検証を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では当初の予定通り、好酸球性食道炎マウスモデルに関する検討が順調に進展している。同マウスモデルにおける食道神経叢の評価も進行中であり、次年度にかけて引き続き評価を続ける予定である。ヒト検体についても症例の集積が進んでおり、今後好酸球性食道炎および食道アカラシア症例について、それぞれマウスモデルで得られた知見についての検証を進める予定である。

今後の研究の推進方策

本研究では下記のように今後の研究を推進する予定である。
(1) 好酸球性食道炎症例における病原性ヘルパーT細胞について評価を行う
既に好酸球性食道炎症例の食道組織検体および血液検体を用いて、病原性ヘルパーT細胞についての評価を開始している。今年度マウスモデルにより得られた結果について、ヒト検体でも同様であるかの検証を進める。さらに、病原性ヘルパーT細胞に関する検証結果を臨床情報と照らし合わせ、好酸球性食道炎における治療反応性や治療後再発、食道線維化の予測に関してその有用性を検討する。
(2) 食道アカラシアについて、好酸球性食道炎マウスモデルを用いた検証を行う。
本研究では前述の好酸球性食道炎マウスモデルについて免疫染色による食道神経叢の観察を開始している。まず同モデルにおいて神経叢が障害されるかを定量的に評価し、併せて神経叢へと浸潤する細胞集団の同定を目指す。食道神経叢に浸潤する細胞集団が同定された場合はその細胞集団について欠損あるいは機能を喪失したマウスを準備し、神経叢の障害が抑制されるかを評価する。最終的にはマウスモデルで得られた知見についてヒト食道アカラシア症例の筋層検体について同様の病態が存在するかを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度はマウスに関連した実験についてを中心として研究を進めてきたが、実験に要する試薬等に関して一部既に購入済みのものを用いることができたために予想よりも費用が節約できている。また当初今年度予定していたヒト臨床検体に関するsingle-cell RNA sequenceの費用については次年度予算に組み込むこととなり、その影響もあって次年度使用額が生じている。
今後複数症例に対するSingle-cell RNA sequenceを予定しており、またマウスおよびヒト検体に関する追加検討のため本予算を充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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