研究課題
若手研究
早期胃癌の粘膜下層浸潤メカニズムを解明するため、マイクロアレイ解析と免疫組織染色を行った。その結果、粘膜下層浸潤胃癌では、抗菌ペプチドDEFA5の発現が顕著に低下していた。一方、JAK-STAT経路下流のpSTAT3は粘膜下層浸潤胃癌で亢進しており、DEFA5低下部位でpSTAT3が高発現していた。DEFA5は腸内細菌叢の恒常性維持に重要であり、その発現低下が腸内環境を変化させ、STAT3を活性化して癌浸潤を促進する可能性が示唆された。
早期胃癌
本研究では、網羅的遺伝子発現解析により、早期胃癌の粘膜下層浸潤に関与する分子機構として、DEFA5発現低下とSTAT3活性化が関与している可能性が示唆された。DEFA5は腸内細菌叢制御に重要だが、癌浸潤への関与を示唆する知見が得られた点は学術的に意義深い。本研究結果は、早期胃癌の進行機構解明に寄与する可能性を秘めており、早期胃癌の治療方針決定の精度向上とさらなる治療成績の改善につながることが期待される。