研究課題/領域番号 |
22K15969
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白 暁鵬 九州大学, 大学病院, 助教 (40908688)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 腸管運動 / VIP |
研究実績の概要 |
通常の腸内細菌を有するマウス(SPF)、無菌マウス(GF)、単一菌種定着ノトバイオートマウス(EC:E.coli或はLB:Lactobacillus)に、in vivo消化管運動機能、ex vivo 腸管平滑筋収縮機能、Nanostringによる腸管組織遺伝子発現、蛍光免疫染色による筋間神経叢の蛋白質発現評価を行った。 胃排出機能は各群間に有意な差を認めなかった。腸管運動機能は、GF群でその他の群と比較して有意に低下し、経口金属ビーズの透視下観察では特に上部小腸の蠕動低下を認めた。腸管平滑筋収縮能に関して、カルバコール刺激による筋原性収縮能は各群間に有意な差を認めなかったが、Field stimulationによる収縮性はSPF群と菌定着群で、GF群と比較してコリン作動性神経が亢進し、強い収縮性を示した。一方、腸神経のアセチルコリン産生酵素(ChAT)の発現は各群間に有意な差を認めなかったが、それと共局在する神経にVasoactive intestinal peptide(VIP)の発現は腸内細菌が存在する3群はGF群のそれと比較して有意に強い発現を認めた。 VIP発現量は腸管運動機能と有意な正の相関を認め、腸内細菌が腸神経の発達を制御することが示唆された。さらに、EC(グラム陰性菌)群におけるVIP発現量と腸管運動機能はLB(陽性菌)群と比較して有意に亢進しているため、Toll like receptor (TLR)や腸管自然免疫の関与が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管運動の「成熟」における腸内細菌の必要性・役割と分子機構の解明を目指し、 無菌マウス(GF)と通常の腸内細通常の腸内細菌を有するマウス(SPF)、無菌マウス(GF)、単一菌種定着ノトバイオートマウス(EC:E.coli或はLB:Lactobacillus)という動物モデルを確立した。また、in vivo消化管運動機能、ex vivo 腸管平滑筋収縮機能、Nanostringによる腸管組織遺伝子発現、蛍光免疫染色による筋間神経叢の蛋白質発現評価を行い、各群に腸管運動の違いやVIP発現の違いを認めた。VIPが腸管運動の成立に必要であることが示唆され、この動物モデルの有効性を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
VIP発現量は腸管運動機能と有意な正の相関を認め、腸内細菌が腸神経の発達を制御することが示唆された。さらに、EC(グラム陰性菌)群におけるVIP発現量と腸管運動機能はLB(陽性菌)群と比較して有意に亢進しているため、Toll like receptor (TLR)や腸管自然免疫の関与が考えられたTLR経路が活性化されないMYD88-/-TRIF-/- マウスを用いて、無菌条件、SPF環境条件およびノトバイオート条件におけるVIP発現量と腸管運動機能を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主にサンプルの採取を行い、より高額な支出としての免疫染色や遺伝子解析等の作業を次年度に行う予定のため、残額が生じた。
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