研究実績の概要 |
本研究では、tyrosine kinase inhibitorであるLenvatinib(Len)の門脈圧亢進症に対する効果について肝線維化モデルを用いて検証を行っている。 Sprague-Dawleyラットを用いてCCl4 0.5mg/kg週2回腹腔内注射を行いCCl4モデルを作成し、10週間後(Week10)に門脈圧測定、肝組織内微小循環測定を行った。同様にして作成したCCl4モデルに対し、Week10よりVehicle、Len低用量(0.4mg/kg), 高用量(0.8mg/kg)の3群に分類して以後10週間にわたって連日経口投与した後、Week20で門脈圧測定、肝組織内微小循環測定を行い、Week10と比較検討した。 申請者の既報通り、Len投与群ではWeek20における肝線維化が、Vehicle群に比べて有意に抑制されていた。 Week10と比較したWeek20でのラット門脈圧は、Vehicle群では変化を認めなかったのに対して、Len低用量群、高用量群ともに低下傾向を認め、肝組織内の血流量は増加傾向を認めた。Len投与群では肝組織中のエンドセリン発現は低下した一方で、血管抵抗を負に制御するCTH、DDAH1、GCH1の発現上昇とともにeNOS活性の上昇を認めた。また、Len投与群ではCD34陽性の類洞毛細血管化が有意に抑制されており、VEGF、PDGFの産生も低下傾向を示した。
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