研究実績の概要 |
50歳未満で発症した大腸癌と定義される早期発症大腸癌は、世界的に発症率が増加しており注目を集めているが、早期発症大腸癌と抗免疫腫瘍応答との関連に関しては十分に明らかにはされていない。また、抗免疫腫瘍応答の観点から早期発症大腸腺腫との関連を検討した研究は乏しいのが現状である。
1. 早期発症大腸腫瘍の臨床病理学的データベース作成 早期発症大腸癌は、50歳以上で発症する(later-onset)大腸癌と比較して、直腸・遠位結腸での発生が多く、また、未分化癌や印環細胞の割合が多いなど、特徴的な臨床病理学的特徴が報告されている。今回の研究に際し、早期発症大腸癌のみならず、早期発症大腸腺腫との統合解析を行えるように、内視鏡的に切除された早期発症大腸癌・腺腫およびlater-onset大腸癌に関しては約10年分、later-onset大腸腺腫は約1年分を対象に、約900症例2000病変に関する詳細な臨床病理学的所見、臨床経過、内視鏡所見について利用可能なデータベースとして構築した。早期発症大腸腫瘍と比較し、early-onset大腸腫瘍では、左側部位、有茎性病変の割合が有意に高かった。大腸腺腫においては、早期発症大腸腺腫で高異型度管状腺腫が多かった。 2. 早期発症大腸腫瘍のFFPE検体を用いた組織データベース作成 臨床病理学的データベースの中で、保存されたFFPEブロックを順次確認し、質・量ともに良好な症例を選択し、正常部・腫瘍部合わせて約500検体を利用可能な状態とした。また、T細胞の抗免疫腫瘍応答の解析として、CD3, CD4, CD8, CD45RO (PTPRC), FOXP3染色の条件設定を行った後、現在順次染色と画像解析を行ってる。
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