研究課題
我々は、マウス胆道上皮細胞をオルガノイド培養し、遺伝子改変された一次腫瘍形成細胞を同系マウスに移植することで、肺転移能を有する肝内胆管癌・胆嚢癌・肝外胆管癌の新規シンジェニックマウスモデルを開発した。形成された腫瘍は、強い間質反応を伴い、腺管構造を有する腺癌の不均一な腫瘍の組織像で、ヒト胆道癌の病理像と酷似していた。まず、開発した胆道癌マウスモデルが、ヒト・マウス間における病理の相同性を明らかにする研究を開始した。マウスモデルの病理組織画像を人口知能(AI)を用いて解析した。Tissue arrayを用いて、ヒト胆道癌病理組織画像と開発したマウスモデルのマウス胆道癌の病理画像から細胞を認識し、細胞の形態をはじめ、色調や模様など複合的な特徴を定量化した。AIでモデルマウスとヒトの病理組織画像の特徴を比較し、相同性の評価をすることによって、相同性を明らかにした。相同性の条件が定量的に明らかになることで、モデルマウスの評価結果から、ヒトでの評価結果の予測が可能になりえる。また、AIによる自動解析で手作業では叶わなかった多くの病理組織画像を客観的に評価可能になり、このマウスモデルを用いた非臨床実験モデルにより創薬の効率化が期待できると考えている。
4: 遅れている
コロナ禍の影響により、一部試薬の入手が困難な時期があったため、遅れている。一方、まず、人口知能(AI)を用いて、開発した胆道癌マウスモデルが、ヒト・マウス間において、病理の相同性が認めることを明らかにした。開発した胆道癌マウスモデルにおいて、腫瘍組織内にはPD-L1発現細胞が含まれており、免疫組織染色の解析により、CD4+T細胞と、CD8+T細胞の存在も確認できたことから、現在、マウス腫瘍における免疫細胞などの微小環境についての解析を行っているところである。
確立した胆道癌マウスモデルにおける微小環境との相互作用について解析をすすめる。Tissue arrayを用いて、ヒト・マウス間において、人口知能(AI)を用いて、病理の相同性を認めることを明らかにしたが、さらに実際の臨床サンプルを用いて、がん組織の悪性度および治療抵抗性との関係についても明らかにするとともに、微小環境と腫瘍内不均一性の意義について明らかにしていく。
(理由)コロナ禍の影響により、一部試薬の入手が困難な時期があったため、オルガノイド作成が困難であった。(使用計画)実際の臨床サンプルを用いて、がん組織の悪性度および治療抵抗性との関係についても明らかにするために、オルガノイド作成のみならず、免疫組織染色等を行い、微小環境と腫瘍内不均一性の意義について明らかにしていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
Biomedicines
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