研究実績の概要 |
ヒト肝細胞から低分子化合物を用いて誘導したヒト肝前駆細胞 (Human Chemically-induced Liver Progenitor:hCLiP) の安定的な継代培養の培養条件を確立した。また、hCLiPをマトリゲル培養させることで肝細胞への分化誘導実験も試みたところ、肝細胞マーカーであるAlb, ASGPR1, MRP2, CYP3A4の発現上昇を認めた。一方で未熟マーカーであるAFPや、胆管細胞マーカーのCK19の発現低下がまだ不十分であるため、成熟肝細胞へ分化に向けたさらなる条件検討が必要であることが明らかになった。 ATP7B欠損のhCLiPを確立させるため、CRISPR-Cas9法でのノックアウト実験を行った。まずは標的遺伝子であるATP7B遺伝子に対するガイドRNAとCas9を共発現するAll-in-oneタイプのプラスミドベクターを設計した。同様にOTC欠損のhCLiPを確立させるため、OTC遺伝子に対するガイドRNAとCas9を共発現するAll-in-oneタイプのベクターを設計した。これらを用いてCRISPR-Cas9法でのノックアウト実験を行った。リポフェクション法でトランスフェクションを行い、puromycinでselectionを行って細胞を回収しRNAを抽出、逆転写を行いcDNAを合成した。qPCRを行い、ATP7BならびにOTC遺伝子の発現を解析したものの、良好なノックアウト効率は得られていなかった。
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