研究課題/領域番号 |
22K16024
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平下 有香 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (70771955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 除菌後胃癌 / オルガノイド / タンパク質メチル化 |
研究実績の概要 |
H. pylori 除菌治療が普及し胃癌予防の効果が期待される一方、除菌後胃癌症例の報告も増え、除菌後胃粘膜の発癌リスクが残っていることが明らかとなった。除菌症例が増加している本邦では、どのような症例において除菌後胃癌の発生リスクが高いのか、除菌後胃粘膜に特化したリスク因子の同定は重要な課題であるといえる。申請者はこれまでに、除菌後胃癌症例の粘膜深部および化生上皮に特異的にeEF1Aタンパク質メチル化修飾が検出され発癌リスクと相関を認めることを見出した。 本研究では、タンパク質メチル基転移酵素とそれにより引き起こされるタンパク質メチル化修飾が、H.pylori除菌後胃粘膜における化生変化や発癌にどのように関与するかを網羅的に解析をおこない、H.pylori除菌後胃癌のリスク因子の同定と発生メカニズムの解明に取り組んでいる。
2022年度はH.pylori未感染、除菌治療後(胃癌未発症)、除菌後胃癌症例より採取した組織を用いた遺伝子発現アレイを行った。サンプル数が少なく有意なメチル化に関わる因子の同定には至らなかった。次年度はさらにサンプル数を増やし、統計学的にも有意差を認めるタンパク質メチル化に関わる因子を抽出を行う。また並行して、胃粘膜より採取した胃底腺組織及び幽門腺組織よりそれぞれ胃粘膜オルガノイドの樹立にも成功した。培地の条件によって分化誘導の条件について検討も行っている。 最終的にはオルガノイドを用いた組織学的細胞分布に沿った機能解析を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度では胃粘膜から採取した組織を用いてオルガノイドの樹立を行った。それぞれの培地の条件を変えRT-PCRにて分化誘導の実験も行った。 また並行して、未感染・除菌症例・除菌後胃癌症例から採取した胃底腺・幽門腺組織をAgilent社の発現アレイで解析を行った。2022年度ではn=4ずつ3群での比較であったが、2023年度ではさらにサンプルを増やし、統計学的に有意差のあるタンパク質メチル化に関わる因子の抽出に努める。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では未感染・除菌症例・除菌後胃癌症例それぞれn=4ずつ3群での比較であったが、2023年度ではさらにサンプルを増やし、統計学的に有意差のあるタンパク質メチル化に関わる因子の抽出を行う。抽出した因子についてオルガノイドを用いた機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度では解析数が少なく、試薬の購入数が当初の予定より少なく繰り越し金が発生した。次年度では解析するサンプル数を増やす予定としている。
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