研究課題/領域番号 |
22K16026
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
林 学 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80745787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝 / 補体 / MASP-3 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)における補体第二経路の活性化因子であるMASP-3のNAFLDモデルマウスにおける病態の影響を評価した。NAFLDにおける肝線維化に対するMASP-3の役割を明らかにするため、MASP-3欠損マウスと野生型マウスへそれぞれ超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量飼料(CDAHFD)飼料を26週間投与したNAFLDモデルマウスを作成して病態を解析した。MASP-3欠損マウスでは野生型マウスに比べて血清ALP、TBが高い傾向が認められた。肝組織のSirius-Red染色により肝線維化を評価すると、線維化を来した肝組織の面積はMASP-3欠損マウスでは野生型マウスに比べて優位に高度であった。肝組織のcDNAを用いたRT-PCRでは肝線維化を示すCol1a1、Col1a2、SMAはMASP-3欠損マウスで高値であった。これらの結果からMASP-3欠損はNAFLDモデルマウスにおける肝線維化の増悪に関連していることが示唆された。次に、同様のモデルにおける肝脂肪について解析をおこなった。Oil Red O statinによる肝脂肪沈着はMASP-3欠損マウスでは野生型マウスに比べて軽度であった。しかし血中中性脂肪を測定するとMASP-3欠損マウスでは野生型に比べて高い傾向が認められ、肝臓のcDNAを用いたRT-PCRでは脂質代謝に関わるSREBF1は差は認められなかった。これらの結果は肝脂肪化の軽減が得られている可能性がある一方で、線維化が高度となったことで脂肪沈着へ影響がでている可能性も考慮された。これらの結果からはMASP-3はNAFLDでは保護的な役割を果たしていることが示唆されたが、肝障害や脂質代謝に関わる影響を明らかにするためにより短期のNAFLDモデルマウスでの解析が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MASP-3欠損マウスによるNAFLDモデルマウスを作成することで、肝線維化や肝脂肪沈着などの肝病態の評価を開始しているためおおむね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
病態のさらなる解明のためには病態モデルマウスの条件の変更して解析することも有用な可能性があるため新たな条件でモデルを作成し解析を進める予定である。また腸内細菌叢の解析、補体活性化などの解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた肝臓のタンパク質発現の解析の開始が遅れたため次年度に実施する予定である。
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