研究課題
本邦から提唱された1型自己免疫性膵炎(AIP)は発症メカニズムに免疫学的機序が関与すると言われる特異的な膵炎で難病指定されている疾患である.その病態にはさまざまな因子が関わると言われているが,依然として不明な点が多い.その中でも特にTh2型免疫応答と呼ばれる免疫反応が病態の鍵とされ,これまで我々は血液中を循環する小胞(細胞外小胞:EVs)中にTh2型免疫応答を引き起こす遺伝子であるmiR-21-5pが健常者と比較して高発現していることを報告し,本疾患に果たす役割が大きいと考えている.2022年度は臨床検体の回収を主として行った.2022年度回収できた検体は18検体であった.内訳は診断時血清11例,診断時に加えてさらに治療導入後血清も回収できた症例は7例であった.患者背景は男性10例,診断時年齢中央値75(48-78)歳,診断時血清IgG4中央値279(123-1043)mg/dl,AIP臨床診断基準2018で確診8例,準確信2例,疑診1例であった.画像上膵腫大はび慢性4例,限局性7例で,他臓器病変ありは4例で,ステロイド治療は7例で施行され,現在のところ再燃は0例であった.2022年度回収した検体の患者背景はこれまで報告されたAIP研究と大きな違いはなく,今後検討に使用する検体として問題ないと考える.来年度以降はEVs由来miR-21-5pがAIPの免疫応答特に免疫細胞に与える影響や役割をフローサイトメトリーやELISA法を用いて.EVs由来miR-21-5pが疾患活動性のバイオマーカーになり得るかについてRT-PCRで治療前後など経時的に比較し解析する予定である.
3: やや遅れている
検体の回収は順調に進んでいるが,共培養後の解析などは未実施であり,研究計画時と比べるとやや遅れていると考える.
検討①については健常者の末梢血単核球と共培養を行い,EVsの取り込みを確認し,いずれの細胞への取り込みが行われているかフローサイトメトリーで解析する.検討②については時間経過ともに患者状態が変化(寛解・再燃など)が予想されるのでその都度血清を回収し.EVs中のmiR-21-5pの変化量について解析し,バイオマーカーとしての有用性を検討したいと考える.
2022年度は検体回収が主となっており,次年度以降にPCRやフローサイトメトリーなどの実験を本格化するので,次年度以降に必要な物品を購入することとした.
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