核酸アナログ製剤内服下のB型慢性肝炎患者242名の患者血清からエクソソームを抽出し、プロテオーム解析を施行した。肝発癌症例と非肝発癌症例で有意に発現が変化したタンパク質202個を抽出した。HBV感染初代培養ヒト肝細胞を用いたsingle cell RNA sequenceでHBV RNA陽性細胞とHBV RNA陰性細胞で発現が有意に変動した5遺伝子と重複する1遺伝子(CLU)を同定した。 次にC型肝炎ウイルス(HCV)感染ヒト肝細胞キメラTK-NOGマ ウスの肝組織を用いてsingle cell RNA sequenceを施行した。HCV感染11週後のマウスとHCV感染8週後から3週間抗ウイルス治療を施行し、HCVを排除したマウス それぞれ1匹ずつを用いて解析を施行した。それぞれ肝組織を擬似灌流法を用いて11380cells、10532cellsを回収し、single cell RNA sequenceを施行した。回 収した細胞は3つのクラスターに区別されたがhAlb、HLA-A、TK(チミジンキナーゼ)の発現量からヒト肝細胞分画を同定することが可能であった。さらにヒト肝細 胞を擬似時系列解析を行うとHCV感染肝細胞とHCV排除後肝細胞を区別することができ、2つの分画の遺伝子発現を比較するとMX1、IIFIT1、ISG15といった細胞内 自然免疫の発現に有意な差を認めた。 最後にB型肝炎由来肝癌非癌部2例、アルコール性由来肝癌非癌部1例、非アルコール性肝炎由来肝癌非癌部2例の手術検体を用いてsingle cell fixed RNA sequenceを施行した。肝細胞のみを抽出し、クラスタリングを施行したところ、B型肝炎由来肝癌非癌部に限定して細胞比率が高い2つのクラスターを同定した。
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