研究課題/領域番号 |
22K16051
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岩井 直人 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00823270)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胃癌腹膜播種 / miRNA / 薬剤耐性 / Met阻害薬 |
研究実績の概要 |
腹膜播種を形成する胃癌細胞株2種類の培養上清からエクソソーム内miRNAを安定的に抽出することが安定していない状況が続き、当初の研究計画を変更することとした。腹膜播種を伴う胃がんにおいて抗がん剤投与を継続すると、薬剤耐性が生じて病勢の増悪、サルコペニアが進行することが経験される。そこで、胃がん腹水由来の細胞株を用いて薬剤耐性株を作成して、胃がん腹膜播種における薬剤耐性と、miRNA発現ならびにサルコペニア進行との関わりを検討する方針とした。また、胃がん腹膜播種においては、一定の頻度でMet遺伝子の増幅が生じていることが知られており、治療標的になる可能性がある。それらのことから、Met高発現かつ腹膜播種由来の胃がん細胞であるSNU5を用いて、徐々に高濃度のMet阻害薬を投与することでMet阻害薬耐性株の樹立を行った。細胞増殖アッセイでは、親株に比較して耐性株は、Met阻害薬に対して有意に耐性が生じていることが確認された。また、細胞の形態も円形の浮遊傾向を示す親株から、接着傾向を示す耐性株に変化をきたしており、Western blottingでもリン酸化Metの発現が減弱していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた胃がん細胞の培養上清からエクソソーム内miRNAを安定的に抽出することが安定していない状況が続き、計画を変更したため実験の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、Met阻害薬耐性株の樹立は達成しており、今後は耐性株を用いて、耐性化機序とmiRNAの関係性ならびに耐性株におけるサルコペニア進行の機序を調べる予定とする。分子標的治療薬の耐性化において、親株と耐性株における遺伝子発現レベルでの評価を行うことで、耐性化において遺伝子の二次的な変異をきたしているのか、側副経路の活性化をきたしているのかを調べる。そのうえで、耐性化に関わるシグナルを明らかにすることで耐性化治療の開発を目指す。その後、Met阻害薬耐性化とmiRNAの関わり、耐性株におけるサルコペニア進行に関わる分子機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた胃がん細胞株の培養上清からエクソソーム内miRNAを抽出する実験を変更して、今年度は薬剤耐性株の樹立が中心となった。そのため今年度は予定していたよりも支出額が少なくなり、次年度使用額が生じた。次年度では、細胞実験、Western blottingの抗体、動物実験におけるヌードマウス購入等に使用する。
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