研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎 (Nonalcholic steatohepatitis: NASH)は, アルコール非依存性に肝臓に脂肪が蓄積し, 脂肪肝, 脂肪肝炎, 肝硬変へと病態が進行する. この病態進展には, 肝臓マクロファージが重要な役割を担う. また, アレルギー性疾患の責任細胞であるマスト細胞を欠損させたマウスを用いて, 高脂肪食負荷によるNASHモデルを誘導すると, 肝線維化の減弱および肝臓マクロファージ数の低下が報告されている. 当該年度では, ストレプトゾトシン投与および高脂肪食負荷によって, ヒトのNASHと同様のプロセスで進行するSTAMマウスを作製した. 作製したSTAMマウスの肝臓からマスト細胞を単離し, RNA-seqを行った. 前年度の検討で, microRNA155 (miR155)のはコントロールマウスの肝臓よりもSTAMマウスの肝臓の方が高発現していることを明らかにした.そこで, マスト細胞特異的にmiR155を欠損させたマウスで, STAMマウスを誘導した. その結果, Tim4陽性肝臓マクロファージの数が減少していた. さらに, 炎症性サイトカインであるIL-6も発現が増加していた. これらのことから, マスト細胞のmiR155は, 肝臓マクロファージの生存・分化に影響を及ぼしていることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までは, マスト細胞特異的なmiR155欠損マウスが十分に揃わず, 解析が遅れていたが, 今年度は十分なマウスを確保できたため, 解析が可能となったため.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度, マウスの作製に時間がかかり, そちらにかける経費が繰越になったため, 当該年度は予定より差が大きくなった. また, 学会の参加費も近距離であったため, 予定より少なかった.
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