| 研究課題/領域番号 |
22K16062
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| 研究機関 | 筑波大学 |
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研究代表者 |
小松 雄樹 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80836958)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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| キーワード | 心室頻拍 / カテーテルアブレーション |
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| 研究実績の概要 |
器質的心疾患の瘢痕組織に関連する心室頻拍が発症し、リエントリーが維持されるために必須となるのは、リエントリー回路に存在する緩徐伝導部位である。心室頻拍に対するカテーテルアブレーション治療において、心室頻拍中に回路を同定することは困難であることが多いため、頻拍を誘発せずにアブレーション部位を同定する手法を確立することは非常に重要である。本研究は、洞調律中に評価した不整脈基質が心室頻拍の頻拍回路にどのように関連しているのかを詳細に検討することにより、心室頻拍発生の機序を解明し、至適アブレーション部位を決定することを目的とする。洞調律中に瘢痕組織内で緩徐に伝導する部位が心室頻拍の頻拍回路に関連すると考えられているが、実際に緩徐伝導部位は瘢痕組織内に多数存在し得るため頻拍回路同定における特異度が低い。我々は、特に洞調律中に旋回する興奮伝播様式（rotational activation pattern [RAP]）を呈する部位が頻拍回路の必須伝導路に一致している可能性が高いことを報告した。
実際のアブレーション治療において、3次元マッピングシステムを使用してRAPを同定するために、適切なマッピング手法を決定することが重要である。またRAPを標的としたアブレーション手法の安全性や有効性を明らかにすることは、大きな臨床的意義のある検証となり得る。本研究における我々の最終的な目標は、致死性不整脈である心室頻拍のメカニズムを解明し、有効なカテーテルアブレーション治療の手法を確立することである。これまで報告されている他の手法と比較して、より安全で有効に心室頻拍を抑制する手法を確立し、今後の心室頻拍のカテーテル治療成績の向上に大きく貢献できると考えられる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は調律中に旋回する興奮伝播様式（rotational activation pattern [RAP]）を呈する部位が頻拍維持に関連する頻拍回路上の緩徐伝導路に一致しており、洞調律中にRAPを認める部位を心室頻拍中に焼灼すると、心室頻拍は停止し抑制される可能性が高いことを報告した。しかし洞調律中にRAPを必ずしも同定できるわけではないため、右室ペーシング中あるいは左室ペーシング中に再度マッピングを行うことが必要となる。RAPを効率的に同定するための手法として、可能な限りRAPを呈する部位の近傍でのペーシング中にマッピングすることが有効なことが多いことを発見し、2023年に報告予定である。
また、RAPを呈する部位は心室期外収縮時に伝導ブロックあるいはより緩徐な伝導特性を有する部位となり、頻拍の発生に関与している可能性が考えられる。心室頻拍が生じるメカニズムに関連する検証であり、現在データ収集および解析中である。
また、RAPを標的としたカテーテルアブレーション治療の安全性や有効性に関して検証するために、現在症例を蓄積している。当初の目標症例数を研究期間内に評価できると予想している。
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| 今後の研究の推進方策 |
RAPは瘢痕組織内に存在する心筋の伝導ブロックの端に存在し、非常に遅い伝導速度で旋回する興奮パターンが非常に特徴的であるが、実際に心室頻拍のリエントリー回路とどのように関連しているかは不明である。RAP部位と頻拍回路の関連を詳細に検証することにより、心室頻拍発症のメカニズムが解明されることが期待される。さらに、瘢痕組織内で記録される複雑な心筋の電位情報の解析を含めて、RAPを同定するための手法を詳細に検証することにより、心室頻拍抑制のための至適アブレーション部位を同定するための3次元マッピングシステム開発のための知見が得られると期待している。これらの検証を推進するために、引き続きRAPに注目し標的としたマッピングとアブレーションを前向きに行なっていき症例を蓄積し、解析を行なっていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初参加を予定していた学会に参加しなかった、また臨床研究保険を使用した前向き介入研究の開始はしなかった等の理由により、当初の使用計画通りにいかなかった。
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