心不全は進行することで心筋細胞のATPレベルが低下し、心収縮力が低下する。心収縮力を急性期に改善させる薬剤としては強心薬があるが、強心薬はATP消費量を増加させることで最終的にATPレベルがさらに低下すること、また使用した患者では予後が悪化するなどの問題点が多い。一方で心不全の予後改善薬として使用されているβ遮断薬は心筋細胞のATP消費量を減らす作用があることが知られているが、陰性変力作用により初期には心収縮力を低下させ急性期の心不全治療には適していない。一方で心筋細胞のATPレベルを上昇させる薬剤は現在存在していない。ATPを上昇させる薬剤の効果を明らかにしたことで新規治療薬の可能性がある。
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