• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

血栓後症候群における予測因子の探索と静脈弁機能変化の検証

研究課題

研究課題/領域番号 22K16075
研究機関神戸大学

研究代表者

岡野 光真  神戸大学, 医学研究科, 助教 (70932846)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード静脈血栓 / 静脈弁
研究実績の概要

深部静脈血栓症に伴う血栓後症候群は、抗凝固療法が奏功した血栓消失後においても発症する慢性期最大の合併症であり、罹患した患者は長期的な通院加療を要する。しかしながら、現存する血栓後症候群の診断基準は臨床症状と所見に基づいており、病態についても静脈弁機能不全が中心と考えられるものの十分に検証されていない。疾病対策のためには、早期診断に有用な予測因子の同定や病態解明が求められる。したがって、本研究では以下の2つの研究課題について検証する。(1) 深部静脈血栓症患者の血栓後症候群発症に関連する予測因子を解析し、(2) マウス生体血栓モデルを利用した静脈弁機能変化を検証する。
具体的には、(1) 抗凝固療法の適応となる中枢性の下肢深部静脈血栓症患者を対象として、血栓後症候群に関連する臨床症状、血液検査、画像所見などを経時的に評価する。(2) マウス下腿静脈結紮による静脈血栓モデルを用いた生体イメージングによって、血栓形成後に弁部の逆流を含む血流変化や血管リモデリングによる弁機能不全を合併するか検証する。
当該年度は、当院で抗凝固療法を開始した中枢性の下肢深部静脈血栓症患者における血栓後症候群合併例の患者背景や血液検査プロファイル、下肢静脈エコー所見の評価によって予測因子を検証したが、有意な結果を得られなかった。またマウス下腿静脈結紮後、日の単位でフィブリン血栓を形成する、より臨床病態に近い静脈血栓モデルの作成に成功した。静脈弁部を含めた血栓の生体イメージングおよび病理学的評価を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

マウス生体血栓モデルを用いたイメージング研究を進めたが、2光子顕微鏡による静脈弁の高解像イメージング、微小な弁の病理学的評価に難渋した。下肢深部静脈血栓症患者を対象とした前向き観察研究の進捗が遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は、臨床研究を中心に、抗凝固療法を要する中枢性の下肢深部静脈血栓症患者に対する前向き観察研究を進める。患者背景に加えて、血栓性素因項目、D-dimerを含む凝固線溶系マーカー、炎症性サイトカイン、接着分子、Neutrophil Extracellular Traps関連因子など、外部委託検査を含む測定を行う。また下肢静脈エコーや造影CTによる血栓の分布、輝度、可動性の有無、血管径、弁部の逆流所見の有無、などの半定量的な画像解析を行い、Villalta scaleに基づいた血栓後症候群の診断および重症度評価を行う。これらの結果で、血栓後症候群に関連する予測因子を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は、血栓後症候群に関する臨床研究の進捗が遅れたため、予想よりも少額であった。次年度は、マウスモデルを利用した基礎研究に加え、臨床研究における外部委託検査を含む測定のため、助成金を使用する予定である。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi