研究課題
若手研究
活性酸素の主要な供給源となっているNADPHオキシダーゼ(NOX)とヘテロ二量体を形成しているp22phoxに関して研究を行った.ヒト心不全患者の心臓サンプルでは,健常者に比較し,有意にp22phoxの発現が亢進していることを認めた.また,心筋特異的p22phoxノックアウトマウスでは,心筋収縮・弛緩の中心的役割を果たしている心筋筋小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2a)の発現量が低下しており,p22phoxはNOXの安定化だけでなく,SERCA2aの発現維持に関わることが示唆された.
循環器
高齢化社会を迎えた日本において,心血管疾患による死亡は癌に次いで2番目に多く,そのなかでも心不全による死亡の割合が最も多くなっている.心不全患者に対する治療薬が様々開発されているものの,未だに予後不良な疾患のままであり,従来とは異なる視点から分子メカニズムを検討する必要がある.今回の研究では心不全におけるNADPHオキシダーゼファミリーの新たな機序の解明するものであり,新規の治療薬を開発に寄与する可能性がある.