研究課題/領域番号 |
22K16083
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
降旗 高明 順天堂大学, 医学部, 助教 (60782505)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞老化 / SASP因子 / 心不全 |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的としては、①老化細胞から分泌される炎症性サイトカインなどの生理活性物質(SASP因子)の分泌が病的老化形質に重要であること、②SASP因子分泌の分子機構についてあきらかとすること、という二点を達成することにある。今回の研究においてはより細胞老化に特異性の高いマーカーであるp16遺伝子をターゲットとした遺伝子改変マウスを新たに導入することとした。p16遺伝子をターゲットとした遺伝子改変マウスは当初heterozygosisマウスであったため、繁殖を繰り返し行うことにより、homozygosisマウスを得ることに成功した。しかし、6か月齢を超えると死亡するマウスが出現することが判明し、解析の結果としてp16遺伝子改変に伴う発癌が原因の可能性が高いと判明した。それに伴い、表現型が減弱する可能性も含めてheterozygosisマウスを使用する方針とし、遺伝子改変マウス同士での繁殖をすすめた。 次に、これらのマウスが予定した通りに作動しているかを再確認することを目的として、まずはp16遺伝子をターゲットとした遺伝子改変マウスに対して、老化細胞の誘導を促進するため高脂肪食の経口投与を行った。対照となる通常食の投与を行ったマウスと比較して、レポーターマウスとなるp16遺伝子をターゲットとした遺伝子改変マウスの内臓脂肪においてルシフェリンの発光が増強しており、p16陽性老化細胞の増加が示唆された。病理学的評価においても、炎症細胞の浸潤と同時に脂肪細胞のCrown-like structureが出現しており、慢性炎症が起きていると考えられた。NF-kB抑制の表現型を有するSASP制御マウスにおいて、p16陽性老化細胞の増加に伴い炎症が抑制されることを確認した。現在SASP制御マウスに対する解析を順次行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、使用を予定したp16遺伝子をターゲットとしたhomozygosis遺伝子改変マウスでの発癌性が明確となったため、現在heterozygosisマウスによる実験への変更を要したたため。
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今後の研究の推進方策 |
使用可能なSASP制御マウスが明らかとなり、レポーターマウスを含め使用が可能な状況になった。今後、計画していた解析を随時行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用する予定であるマウスが計画と異なる挙動を示し、計画変更によりマウスの調達に遅延が起きたため。今後は元々の計画に沿った使用となる見通し。
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