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2022 年度 実施状況報告書

高植物性脂質食の心不全抑制効果の機序解明:低炭水化物食の脂質構成に着目した研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K16096
研究機関東京大学

研究代表者

武城 怜史  東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (20931827)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード低炭水化物食 / 植物性脂質 / 心不全 / PPARα
研究実績の概要

心不全発症の危険因子となる生活習慣病に対する予防医療が重要であり、特に毎日の生活で欠くことのできない食事の影響は大きい。しかし、いまだ心不全予防に適した食事は確立されていない。近年、心疾患危険因子を改善する低炭水化物食(Low carbohydrate diet: LCD)が注目されている。LCDの心血管系への効果に炭水化物の代わりに摂取する脂質の質が重要であり、心血管死は高動物性脂質LCDで増加し、高植物性脂質LCDで減少することが大規模臨床試験で報告されている。その詳細な機序は明らかではなく、本研究はLCDを構成する脂質の差異が心不全に与える影響を解明することを目的としている。
申請者は圧負荷心不全モデルマウスを用いて、高動物性脂質LCDが心機能を増悪すること、高植物性脂質LCDが心機能を改善することを確認した。次に、マウス心臓のトランスクリプトーム解析を行い、高植物性脂質LCDが心臓エネルギー代謝と炎症を制御する転写因子PPARαを活性化することを見いだした。さらに、心筋細胞特異的PPARαノックアウトマウスとPPARα活性化薬であるペマフィブラートを用いて、PPARαが心不全の抑制および改善に重要な因子であることを証明した。最後に、食餌・血清・心臓の脂肪酸組成解析および培養心筋細胞を用いて、高植物性脂質LCDに多く含まれるステアリン酸が心筋細胞の転写因子PPARαを活性化し、心保護効果を発揮することを見いだした。これらの成果に関して、学会発表および論文発表(DOI: 10.1038/s41598-023-30821-7)を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画では、高植物性脂質LCDとPPARαの心臓代謝への影響と心保護効果の機序を明らかにすることを挙げていた。予定通り、心筋細胞特異的PPARαノックアウトマウスやPPARα活性化薬ペマフィブラート、ラット新生仔培養心筋細胞を用いて各実験を遂行した。高植物性脂質LCDに多く含まれるステアリン酸が心筋細胞の転写因子PPARαを活性化し、心保護効果を発揮することを見いだし、迅速に論文発表を行った。

今後の研究の推進方策

引き続き高植物性脂質LCDとPPARαの心臓代謝への影響を探索するため、エネルギー代謝に着目し、予定していた核医学実験などを進める。また、ステアリン酸には炎症抑制やミトコンドリア機能改善の効果が報告されており、ステアリン酸による心臓脂質構成と心機能への影響も探索する。

次年度使用額が生じた理由

同一テーマ、研究計画に沿った実験を進行中であり、次年度で引き続き使用予定である。主に遺伝子改変マウスや培養心筋細胞の実験において使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Low-carbohydrate diets containing plant-derived fat but not animal-derived fat ameliorate heart failure2023

    • 著者名/発表者名
      Bujo Satoshi, Toko Haruhiro, Ito Kaoru, Koyama Satoshi, Ishizuka Masato, Umei Masahiko, Yanagisawa-Murakami Haruka, Guo Jiaxi, Zhai Bowen, Zhao Chunxia, Kishikawa Risa, Takeda Norifumi, Tsushima Kensuke, Ikeda Yuichi, Takimoto Eiki, Morita Hiroyuki, Harada Mutsuo, Komuro Issei
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 3987

    • DOI

      10.1038/s41598-023-30821-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高植物性脂質低炭水化物食は心保護作用を有する-ステアリン酸による転写因子PPARα活性化に着目して-2022

    • 著者名/発表者名
      武城怜史、東口治弘、伊藤薫、石塚理人 、梅井正彦、郭嘉熙、テキ博文、岸川理紗、原田睦生、小室一成
    • 学会等名
      第51回日本心脈管作動物質学会
  • [学会発表] 高植物性脂質食の心不全予防食への期待2022

    • 著者名/発表者名
      武城怜史、東口治弘、伊藤薫、原田睦生、小室一成
    • 学会等名
      第20回日本機能性食品医用学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] Low-carbohydrate diets containing plant-derived fat ameliorate heart failure through stearic acid-induced PPARα activation2022

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Bujo, Haruhiro Toko, Kaoru Ito, Mutsuo Harada, Issei Komuro
    • 学会等名
      第39回国際心臓研究学会日本部会

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公開日: 2023-12-25  

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