本研究では、遺伝性心筋症家系から同定されたTMEM43 S358L変異を基に、患者と同一の変異を持つTMEM43-S358Lノックインラット(以下、KIラット)と患者由来のヒトiPS心筋細胞を用いて、TMEM43変異蛋白の生化学的特性及び病態機序の解明を行った。KIラット及び患者細胞においては、特に小胞体ストレスを課した際にTMEM43蛋白の糖鎖修飾の付加や小胞体膜から核膜への局在変化が観察され、これらが心筋症の発症に関与している可能性が示唆された。また、KIラットの心臓組織の遺伝子発現解析から、TMEM43変異が不整脈を引き起こす原因の一端を明らかにした。
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