当該年度の研究目的および研究実施計画は、前年度に作成した小児検診データおよび3次検診受診者の患者情報(年齢・性別・疾患名・心エコーデータ・胸部レントゲンデータ等)を元に構築したモデルをさらに発展し、実際の検証データを用いてモデルの性能評価を行うことをである。 深層学習を用いた異常検知モデルを正常な心電図のみを用いて学習し、今回は肥大型心筋症、QT延長症候群の患者の心電図が分別できるかどうか、を検証した。 前段で学習した異常検知モデルを実際の肥大型心筋症の患者25名に対して予測させた際のモデル性能はAUC-ROC 0.98、AUC-PRC 0.412、Accuracy 0.953、Precision 0.036、Recall 0.958という結果であった。また、同モデルをQT延長症候群(31名)に対して予測させた際のモデル性能はAUC-ROC 0.932、AUC-PRC 0.455、Accuracy 0.870、Precision 0.190、Recall 0.846と比較的高い値となった。モデルの使用状況としてはスクリーニングで用いられることを想定しており、Recall(感度)が比較的高く、目的と合致していることが示唆された。 また、この成果を今年度は第59回日本小児循環器学会総会・学術集会の招待講演で、「学校心臓検診 スクリーニングAIモデル」と題してして発表を行った。これにより、小児循環器領域における心電図AIモデルの重要性を広め、今後の研究の進展に役立つことが期待される。
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