骨代謝マーカーである非~低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は生理活性作用を有しており、様々な臓器に作用し生体システムを制御することが明らかになっているが、心臓に与える影響に関しては明らかではない。骨粗鬆症患者においてucOCは一般的に測定されており、そのucOCが心臓に与える影響や心不全予後との関連が明らかになれば、日常診療で測定できるucOCが心不全の予後を規定する因子になりうると考えられる。そこで本研究の目的は、1)骨代謝マーカーであり生理活性作用を持つオステオカルシンの血中濃度と心不全患者の予後との関連を臨床研究で明らかにする、2)骨粗鬆症マウスにおいて心不全モデルを作成し、骨粗鬆症、特にオステオカルシンが心機能に及ぼす影響を動物実験で明らかにすることである。臨床研究に関しては、当院循環器内科に入院した心不全患者を対象とし、ucOCなど骨代謝に関係する血液検査項目を測定、また心エコー図検査を施行した。現在まで約50名の患者を登録しており概ね順調に研究は進んでいる。今後は退院後の心不全に関する予後調査を行い、総死亡、総心臓死、心血管イベントの有無に関して引き続き調査する予定である。動物モデルによる研究に関しては、まず骨粗鬆症モデルマウスの作成を作成し、最終的に骨粗鬆症モデルマウス対するucOC投与の効果について評価する予定であるが、現時点では骨粗鬆症マウスの作成もできていない。
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