研究課題
本研究では、小児がん治療によるCTRCD発症のメカニズムにおけるDNA損傷の意義を明らかにするため、小児がん治療のDNA損傷、DNA損傷応答に対する作用を検討する。そのうえで①DNA損傷と小児がんのがん治療関連心筋障害との関連を明らかにする、②DNA損傷の定量によりがん治療関連心筋障害発症の予知を試みることを達成目標としている。現在までに、寛解に至っている小児がんサバイバー150例において、末梢血より分離した単核球のDNA二本鎖切断をgammaH2AXの免疫染色にて染色体異常をFISHを用いた二動原体染色体の定量にて測定した。今のところ全体としては、gammaH2AX、二動原体染色体とも小児がんサバイバーと同年代の健常者の間に有意差は認められないが、小児がんサバイバーにこれらDNA損傷が非常に多い症例が多数存在していた。さらにがん治療関連心筋障害などが含む治療後合併症を起こした群が、起こさなかった群より有意に二動原体染色体が高値であることが分かった。そしてがん治療関連心筋障害を発症した10症例に着目して二動原体染色体を比較したところ、がん治療関連心筋障害を発症した群は、発症しなかった群よりも有意に二動原体染色体が高値であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
症例収集のペースはほぼ予定通りである。
現在さらに症例を増やすとともに、末梢血単核球における炎症性サイトカインやケモカインなどの遺伝子発現や細胞内シグナル伝達の解析を行なっている。
前年度と同様に、実験試料などの物品費として使用する。
すべて 2024 2023
すべて 学会発表 (4件)