研究課題/領域番号 |
22K16113
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 達之 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (10903495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心不全 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
心不全は、心臓の収縮または拡張の機能が低下する致死的疾患である。現代では、高齢化などに伴い心不全患者の数が増加しており、心不全パンデミックの時代が到来している。本研究計画では、血管新生を誘導するサイトカインである血管内皮細胞増殖因子-A(Vascular Endothelial Growth Factor-A: 以下VEGF-A)に着目して、新たな心不全療法を開発することを目指している。 今年度は心臓に存在する細胞のうち、いくつかの細胞種でVEGF-Aを欠損させるマウスを作成した。更に、心臓病の病態におけるVEGF-Aの役割を明らかにすることを目指して、これらの遺伝子改変マウスに横行大動脈縮窄術による心不全モデル、冠動脈左前下行枝の結紮による心筋梗塞モデルを作成している。一部のマウスにおいて、VEGF-Aの欠損が心不全を増悪させることを示唆するデータを得ている。現在その詳細を、病理学的・分子生物学的手法で解析を進めているところである。また、これらの病態モデルの心臓から、一細胞懸濁液を作成する方法を確立した。この方法で作成された一細胞懸濁液は、フローサイトメーターや一細胞遺伝子発現解析などに活用することができる。現時点ではまず、フローサイトメーターを用いた解析を進めている。 上記に加えて、心臓の血管新生を模倣するようなin vitroでのモデルの樹立にも取り組んでいる。このモデルにおいて、VEGF-Aのシグナルを阻害する薬剤を用いて、VEGF-Aの心臓血管新生における役割を検討している。来年度以降は、これらのモデルで得られたデータを統合的に解釈し、心臓病におけるVEGF-Aの働きをより詳細に解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画は2年間であるため、来年度が最終年度である。来年度は、今年度に作成したモデルでデータを得、そのデータを統合的に解釈し、心臓病におけるVEGF-Aの働きについて、一つの結論を示すことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスなどの影響で、国際学会を含めた発表予定が翌年度に延期になったことと、また一部試薬の製造が遅延し、翌年度の納品となったため。
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