研究実績の概要 |
本研究は,ヒス束や左脚を直接補足させるConduction System Pacing(CSP)を用いた心臓再同期療法(CRT)の有効性を明らかにすることを目的としている.CSPによる自己刺激伝導系の回復による非同期生収縮の是正は非常に生理的であると考えられるが,従来のCRTの代替となりうるかは確立されていない.そこで我々はCSPと左室ペーシングを併用したConduction system optimized CRT(CSO-CRT)が最も理想的なCRTのペーシング様式であると仮説をたてた.CSO-CRTを試みた患者における成功率,心電図指標および観血的血行動態指標における急性効果,慢性期における心機能改善の程度や予後調査を明らかにする. 2022年度においては,CSO-CRTの急性期効果の評価として,従来の右心室ペーシングや両心室ペーシングを対象とし,12誘導心電図およびProAQT(PULSION Medical Systems SE, Munich, Germany)による観血的血行動態指標について解析を行っている.2022年度以降において9症例にCSO-CRTを試みており,7症例(78%)でCSO-CRTの確立に成功し合併症は発生していない.まだ症例数が研究の結論に至るには不十分であり,今後さらに症例を増やして解析を進めていく予定である.心機能改善効果や予後に関しては2024年度以降を予定しており,引き続き症例数の増加と調査を継続している.
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