研究実績の概要 |
本研究は,ヒス束や左脚を直接補足させるConduction System Pacing(CSP)を用いた心臓再同期療法(CRT)の有効性を明らかにすることを目的としている.CSPによる自己刺激伝導系の回復による非同期生収縮の是正は非常に生理的であると考えられるが,従来のCRTの代替となりうるかは確立されていない.そこで我々はCSPと左室ペーシングを併用したConduction system optimized CRT(CSO-CRT)が最も理想的なCRTのペーシング様式であると仮説をたてた.CSO-CRTを試みた患者における成功率,心電図指標および観血的血行動態指標における急性効果,慢性期における心機能改善の程度や予後調査を明らかにする. CSO-CRTの急性期効果の評価として,従来の右心室ペーシングや両心室ペーシングを対象とし,12誘導心電図およびProAQT(PULSION Medical Systems SE, Munich, Germany)による観血的血行動態指標のデータ収集を行っている.2023年度までに23症例にCSO-CRTを試み,18症例(78.3%)でCSO-CRTの確立に成功し,合併症の発生はない.2024年度においては観血的血行動態指標を解析し、CSO-CRTと右室ペーシング、右室心尖部のCRTとの比較検討を行い急性効果を確認する.
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