研究実績の概要 |
本研究の初年度では、解析に用いるデータセットの構築とそれを用いた疾患関連解析であった。データセットに関しては、理化学研究所生命医科学研究 センターが所有する約27万人のバイオバンクジャパンのデータから、本研究で取り扱う心房細動のサンプルと比較を行うためのコントロールのサンプルデータを抽出した。疾患との関連を調べるゲノムワイド関連解析を行うにあたり、サンプルデータのクオリティーチェックを行い、最終的に15,618 人の心房細動のケースと200,230人のコントロールを対象にゲノムワイド関連解析へ進めることとした。次に、解析で用いるジェノタイピングデータの情報量(解像度)を向上させるため、 ジェノタイピングされていない欠損データを、外部のシークエンスデータを利用して統計学的に推測し補完するインピュテーションの方法を実施した。これにより、アレル頻度が1%未満の遺伝子多型(バリアント)を含めた12,327,698個のゲノムデータを構築した。このたデータセットを用いて心房細動のゲノムワイド関連解析を実施し、心房細動の発症と関連する49の疾患感受性領域を同定することができ、そのうち3つの領域はこれまで報告のない新規の領域であった。さらに、この結果を欧米人のゲノムワイド関連解析の結果と統合した民族横断的メタ解析を行うことで、116,532人の心房細動ケースと1,338,446のコントロールサンプルを対象とした大規模なゲノムワイド関連解析を実現し、その結果統計学的に有意となる疾患感受性領域を223まで増やすことができた。
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